レストランを愛してやまない秋元康、小山薫堂、中田英寿、見城徹が選ぶ、最強のレストランガイド「ゲーテイスト2024」。シェフズテーブルのような料理人とゲストが一体化した“弩級の特等席”をご紹介。今回は東京・神楽坂の『ななかぐら』。
秋元「店主の生き方や知性を感じる料理に心身が癒やされます」
商売繁盛や学業成就を願い、全国から参拝者が訪れる神楽坂の赤城神社。そのすぐ近くの小さなビルの1室で女性店主が営む『ななかぐら』は、飾らない料理で常連の心を和ませる会員制の和食店だ。季節の食材をさり気なく盛りこみ、自然体で紡がれる滋味に気分が安らぐ。
秋元 神楽坂は今も昔も変わらない美食の街。僕が好きなお店もたくさんありますが、『ななかぐら』は心がほぐれる良店だと思いました。最近は特に派手さよりも、作る人の心が見える料理に惹かれるんです。
見城 誰もが知っている家庭的な料理でも、プロの仕事が見えると素直に感動するよね。
秋元 まさにそうなんです。ここは内田奈々さんという女性がひとりで営業されていて、カウンターだけのお店というのもあって会員制なんですけれど、僕は一度でファンになりました。客席と厨房の距離が近いので、調理風景を眺めているとわかるのですが、限られた空間の中で動きにいっさいの無駄がないんです。
小山 カウンターだけのお店だからこそ、見える景色というのがありますよね。
秋元 それがカウンターが好きなひとつの理由です。それで、肝心の料理は気取りがなく、シンプルでこういうのが食べたかった! と嬉しくなる。
見城 大仰な料理に疲れてしまって、飾らない美味しさが恋しくなることが増えてきたよね。
秋元 内田さんはすごくバイタリティのある方で順天堂大学でアンチエイジングの研究をされたり、ジビエなどは自分で解体からされるので、それが料理に生かされている。岩塩が置いてあったので何かなと思ったら、それぞれの好みに合わせて足してくださいと。お砂糖もほぼ使っていないので食後感がすっきり軽く、身体にいい料理とはこういうものかと実感しました。
小山 つくづく素敵なお店というのが伝わってきます。
秋元 僕がいただいた鴨のハンバーグや作り立てのさつまあげもとても美味しかった。心にも栄養が行き届くような料理に若返った気持ちになります。
ななかぐら/Nanakagura
“神楽坂の茶屋”をコンセプトに、会員制の店としてオープン。7周年を機に現在の場所に移転。年内はすべて予約で埋まっているという人気ぶりで、新規会員の募集は受付けていないが、過去に予約をしたことがある場合のみ、HPから問い合わせが可能。
住所:東京都新宿区赤城元町3-7 神楽坂ODAビル2F
TEL:非公開
営業時間:17:30~22:30
定休日:水・土・日曜、祝日
座席数:6席
料金:¥19,800のおまかせコースのみ
この記事はGOETHE 2024年7月号「総力特集:恍惚レストラン ゲーテイスト2024」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら