充実した人生を送るには、時にはノリと勢いも必要。財布とパスポートと旺盛な食欲(と屈強な胃袋)だけ持っていざ、ディープ感満載の美食のアジア弾丸ツアーへ。今回はソウル1泊2日食いだおれ旅のラスト、7軒目の「プイルカルビ」を紹介。【特集 エクストリーム旅】
オモニの優しさが疲れた身体にしみわたる
ソウルの弾丸焼肉ツアーもいよいよラスト。最後は、これまでメディア取材をすべて断ってきたという「プイルカルビ」で胃袋と時間が許す限り“肉欲”に溺れることに。
やさしい笑顔で迎えてくれたオモニが店名の意味は「富と仕事」と教えてくれる。6人きょうだいの長女として家計を支えるために寝る間も惜しんで働き、33年前に豚焼肉の店をオープン。客席に座り、肉を焼きながら「人生の悩みや恋愛相談にものるわよ」と微笑む。
釡山の醤油をベースにキウイや梨、パイナップルといった果物を使ったもみだれを絡め、肉を焼きながら「商売は嘘をついたらダメ。初心を忘れず、手を抜かず。いつでもやさしい気持ちでお客さんと向き合うことが大切」というオモニの言葉に耳を傾けながら韓国の人情に触れた思いに。
韓国の食の源は、母の真心にあるのだと胸がじんわり熱くなる。テーブルにずらりと並べられたおかずもひとつひとつ心をこめて作られたものばかり。
人生は「楽あり、肉あり」だとずっと思ってきたけれど、時には苦労を買ってでも人の役に立とうと心に言い聞かせ改心し、帰国の途に。
今回の旅で増量した体重は見なかったことにしよう。
【7軒目】12:00|プイルカルビ
住所:ソウル特別市永登浦区 永登浦洞3街23-11
営業時間:16:00~22:00(11:00~22:00)
定休日:火曜
【番外編】韓国みやげはコレ!
定番、韓国海苔。パッケージもお洒落なブール海苔はバター、明太子、トリュフの3フレーバーを展開。
旅人・小寺慶子
肉と酒を糧に生きる肉食系ライター。強靭な胃袋とフットワークの軽さを武器に国内外を食べ歩く。旅先では「郷に入れば郷に従う」のがモットー。
この記事はGOETHE 2024年4月号「総力特集:エクストリーム旅」に掲載。▶︎▶︎購入はこちら