ラーメンYouTuberとして、圧倒的知名度を誇るSUSURU氏。雨の日も晴れの日も病める時も健やかなる時も“365日ラーメン生活”を送るなかで2023年を振り返って“口福”なラーメン店を教えてもらった。【特集 最上級のB級グルメ】
啜(すす)る門には福来たる! 日本のラーメンはB級を超越した一大文明のフェーズに
2015年から「毎日ラーメン健康生活」を送るYouTuberのSUSURU氏。チャンネル登録者数は138万人超え。2023年は富山で全国の名店が集結するラーメンイベントを開催するなど、その人気と勢いは増すばかりだ。
かつてB級グルメの代表格とされたラーメンの地位は、飛躍的に向上しているが、SUSURU氏は「店主によってさまざまな考え方があると思いますが、ラーメンは多くの人に愛される国民食であると同時に、日本の一大文明でもある」と話す。
2023年のラーメン界のムーブメントは? とたずねると「2、3年前の淡麗系と言われるラーメンを出す店が増えたような目立った動きはありませんでしたが、スープはもちろん、手打ちの麺に注力するお店はどんどん増えています」とSUSURU氏。
さらに注目すべきキーワードとして“ちゃん系ラーメン”についても言及。
「○○ちゃんという名がつく店のなかでも4番打者と言えるのが、高円寺の『ともちんラーメン』。しょっぱ旨スープなので塩分は気になるところですが、伸びやかな旨みがあって完飲したい欲に抗うのは困難です(笑)。
そして、採算度外視、素材重視の店も増えるなかで、その思いをより強く感じられるのが池袋の『Japanese Ramen 五感』。地鶏、地蛤など国産食材のみを使ったラーメンは、2023年に出合ったなかでも強烈なインパクトがありました」
人気の店はやはり、大行列かというと「最近は記帳制の店が増えていて、そのために早起きするのである意味、健康な生活につながるというメリットも(笑)。埼玉県岩槻にある『オランダ軒』も早起き必須の記帳制なので、僕のなかではご褒美ラーメンという立ち位置。長岡生姜醤油ラーメンをベースにしていて、塩ラーメンも具材もご飯もすべて美味しい。一年に一度は食べないと気が済まない」
逆に、毎日でも食べたいと思うラーメンは「門前仲町の『らーめん こうかいぼう』です。じんわりと心に沁みるスープは、味噌汁を飲むとホッとする感覚に似ています。それとは真逆で麺を啜るたびに背徳感と恍惚感に包まれるのが、五反田の『らーめん 平太周 五反田本店』。爆盛油脂麺のスープに浮かぶ背脂はまるで美しい雪景色のよう。これは必食です」
今すぐ啜りたいという欲求に駆られたら、それを実行するまで心が満たされない“魔力”もまた、日本のラーメンが一大文明として成熟した理由なのだ。
SUSURU
1993年青森県生まれ。ラーメン店を食べ歩き、リポートするYouTubeチャンネル『SUSURU TV.』を運営。企業や自治体とのコラボレーションなど、YouTubeの枠を超えて活躍している。
この記事はGOETHE 2024年2月号「特集:最上級のB級グルメ」に掲載。▶︎▶︎購入はこちら