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2024.01.08

フレンチの巨匠・三國シェフがリピートする最上級ラーメン

最上級のB級グルメとは何か。食にいっさい妥協のない9人が偏愛する逸品を紹介する。今回は、フレンチの巨匠・三國清三シェフが「非日常の料理をつくる活力になる」と絶賛するB級グルメ。 【特集 最上級のB級グルメ】

非日常の料理をつくる活力になる“日常の味”

札幌グランドホテルから帝国ホテルを経て、20歳にして駐スイス日本大使館料理長に就任、その後は「ジラルデ」「トロワグロ」「アラン・シャペル」など数々の世界最高峰の三つ星レストランで腕を磨く​。

30歳の時にオープンした「オテル・ドゥ・ミクニ」​は、日本国内はもちろんのこと、世界各地からトップシェフやグルマンが押し寄せる日本を代表するフランス料理店となった。

そんな日本フランス料理界を牽引してきたフレンチの巨匠、三國清三氏にとってB級グルメは、「日常の味」。ふだん非日常の料理を手がけているからこそ、食べたくなるという。

「日常のおいしさが、非日常の料理をつくる活力になっているんだもの。B級という言い方はしっくりこないんだけど」と言いつつ、まず挙げてくれたのは、帝国ホテルでの修業時代、先輩に連れられて初めて訪れてから50年近く通い続ける「日比谷 芳蘭」の味噌バターラーメン。

「丼が大きくて、スープが濃厚で、バターのコクが効いている“ザ・道産子”な味噌ラーメン。味もほぼ変わっていないから、故郷だけでなく、死に物狂いで頑張っていた修業時代も思い出させてくれるんですよ」

三國氏がラーメンと並んでよく食すのが蕎麦。

駅の立ち食いそば屋にも足を運ぶほどだが、なかでも全幅の信頼を置いているのが、ホテルニューオータニ(東京)のガーデンタワー ロビィ階の奥にひっそりと佇む「麺処 NAKAJIMA」。

「知る人ぞ知る名店で、そばもつまみも、ケーキもおいしい。それに、店員さんのサービスがていねいで、気持ちよく過ごせます。B級グルメといえども、接客は大切。流行っている店は、味だけでなく、雰囲気も接客にも気を配っていますよ」

長年通う店がある一方で、ニューフェイスのチェックも欠かさない。2022年3月に蕎麦居酒屋としてオープンした「鴨の助」が、2023年2月にリニューアル。その名物、親子丼がフレンチの巨匠の度肝を抜いた。

「入口ののれんに『親子丼は飲み物です』と書いてあるのが気になって入ってみたら大正解! 卵がつるっつる、とろっとろで、まさに飲み物。肉にもこだわっていて、抜群においしい」

料理に対する探求心か、はたまた純粋な好奇心からか、いろいろな店に足を運ぶがゆえにリピーターになる店は多くはない。そう語る三國氏だが、オフィスが近いこともあって、この店にはスタッフといっしょに何度も通っているという。

「僕ももう70歳、残りの人生考えたら、何回食事ができるかわからないからね。おいしいものしか口にしたくないんですよ」

料理の世界に足を踏み入れて50余年。今なお料理への情熱をたぎらせる巨匠は、食することにも貪欲であり続ける。

三國清三シェフが“リピートする”B級グルメ3選

1.通い続けて50年、故郷と若かりし頃を思い出す味
芳蘭「味噌バターらーめん」

日比谷 芳蘭「味噌バターらーめん」
チャーシューなどと共に添えられた木耳も良いアクセントに。50年に渡って愛され続ける味。「味噌バターらーめん」¥1200

札幌の「芳蘭」の味に惚れ込んだ先代が、現地で修業し、1974年にのれん分けされて開いた「日比谷 芳蘭」。

看板メニューの「味噌バターらーめん」は、豚骨と鶏ガラをベースに、北海道産昆布、タマネギやネギなどの野菜を合わせた、濃厚でまろやかなスープが、もっちりとした中太縮れ麺によくからむ。

「ストレート麺が流行っているけれど、ここは縮れ麺なのもいい。人生同様、ひっかかりがないと物足りないから(笑)」

2.ホテルクオリティを気軽に堪能できる
麺処 NAKAJIMA「盛りそば」

香り豊かな蕎麦と、厳選したかつお節の一番出汁やしいたけの出汁を使用したこだわりのつゆが自慢。蕎麦は日本全国からそのとき一番美味しいものを厳選し使用。季節によって茹で時間を変えるなど、食感にもこだわっている。「盛りそば」¥1,300

ホテルニューオータニの中島眞介総料理長がプロデュースした麺処。鹿児島県枕崎より取り寄せた最高級の鰹節を使用した出汁をはじめ、日本全国から厳撰した素材を用いたホテルクオリティの蕎麦やうどんなどが味わえる。

「ホテルの中なのに比較的手ごろな価格で、心地よい時間が過ごせるのだから、お得だと思います。僕は、お酒とつまみで一杯やった後にお蕎麦を頼むんだけど、つまみもおいしいし、日本酒の種類も豊富。そこも気に入っています」

板わさや鴨南蛮も三國氏のお気に入りメニュー。

3.素材とつゆにとことんこだわった“飲める親子丼”
鴨の助「親子丼」

鴨の助の「飲める親子丼」
メニュー名の斬新さにも驚かされる。「親子丼は飲み物です。」¥1,580

2023年2月にリニューアルをし、「飲める親子丼」を看板メニューに。岩手産ブランド鴨、絶品合鴨のモモ肉の炙りに自家製鴨つくね、国産鶏ムネ肉の麴漬けと鶏モモ肉を、鶏ガラスープと蕎麦出汁をブレンドしたかえしで煮て、大分県産「龍のたまご」でとじ、仕上げに卵黄をトッピング。

味も食感も異なる肉にたっぷりのつゆ、ぷるぷるに仕上げた卵のハーモニーは、フレンチの巨匠をも虜に。

「昼は親子丼、夜はお酒とつまみをいただいてから蕎麦と、昼夜楽しめます」

三國清三/Kiyomi Mikuni
1954年北海道増毛町生まれ。中学卒業後、札幌グランドホテル、帝国ホテルで修行し、駐スイス日本大使館ジュネーブ軍縮会議日本政府代表部料理長に就任。名だたる三つ星で腕を磨き、1985年、オテル・ドゥ・ミクニを開店。2015年、日本人初となる仏レジオン・ドヌール勲章シュヴァリエ受章。世界各地でミクニ・フェスティバルを開催するなど、国際的に活躍。2013年、フランソワ・ラブレー大学より名誉博士号を授与される。2020年にYouTubeチャンネル「オテル・ドゥ・ミクニ」をスタートし、登録者数40万人を超える人気チャンネルに。子どもの食育活動やスローフード推進などにも尽力している。2024年、東京・四谷に「み三國本家 高級フレンチフォンドボーカレー」を開業予定。プロデュースした「Dinning 33」も話題に。50年に及ぶ料理人人生を振り返った自伝『三流シェフ』など著書多数。 ※「み三國本家」の「み」は丸囲みの「み」が正式表記。

TEXT=村上早苗

PHOTOGRAPH=上田佳代子(芳蘭・麺処 NAKAJIMA)

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