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2024.01.04

ラーメン、あんかけ焼きそば…岸博幸がハマる、最高のB級グルメとは

最上級のB級グルメとは何か。食にいっさい妥協のない9人が偏愛する逸品を紹介する。今回は、慶應義塾大学大学院教授・岸博幸が「パワーが湧くソールフード」と絶賛するB級グルメ。 【特集 最上級のB級グルメ】

問答無用で美味しいと感じる、“直球勝負”の料理がエネルギーの源

 ウィットに富んだトークと飾らない性格でテレビのコメンテーターなど、多方面で活躍中の岸博之氏。以前、GOETHEのインタビューで、親交が深かった故•坂本龍一氏に“最上の飯とクリエイティブの関係”について教わったことを明かしてくれた。

「通産省に復職したときは、あまりの忙しさに夜中2時、3時まで仕事ということもめずらしくありませんでした。食事の時間もゆっくり取れないので、近場でパパッと300円のラーメンとかで済ます生活。そのときに、以前からお世話になっていた坂本さんが帰国されるタイミングがあったのでお会いしたんです。お話しをしていたら『月に1回でもいいから、最上級においしいものを借金してでも食え。そうしないとクリエイティブな仕事はできないぞ』と言われたのが、すごく心に残っています」と岸氏。

“最上級”のとらえ方はひとそれぞれ。「借金をしてでも」という坂本氏の言葉から察するに、鍛錬された一流の仕事や厳選された食材を使う店という意味合いもあったのかもしれない。

「坂本さんが言うことだからと、実践してみたら1年くらい経った頃においしいものが食べることは新しいものやことを創造をするうえでの力になると感じたんです」

高級か大衆かに関わらず、心の底からおいしいと感じるものから得られるパワーは大きい。

では、岸氏にとって、最上級のB級グルメとはどんなものなのだろうか。「ザ・スタミナ食というにふさわしい」と紹介をしてくれた店のひとつが長野の『ハルピン味噌ラーメン 雷蔵』だ。

長野県諏訪市に昭和49年に創業した『ハルピンラーメン』は、ニンニクが効いた秘伝の寝かせダレがやみつきになると全国から通うファンも多い。戦後、日本に帰国したひとりの兵士が、中国で作り方を学んだそのタレを多くのひとに食べてほしいとラーメン屋台を始めたことがルーツになっており、その味をベースに、長野県が誇る“味噌文化”を広めるべく『ハルピン味噌ラーメン 雷蔵』が生まれた。

白味噌をはじめ、諏訪エリアにある6つの老舗味噌蔵の信州味噌をブレンドし、鉄鍋で煮込んだ豚骨スープと寝かせダレを合わせたスープがクセになると評判。

「長野に伝わる食文化と地元で愛されてきたラーメンの融合。にんにくの風味が食欲を刺激し、1度食べたら夢中になるおいしさです」

そして、岸氏が家族とともに足繁く通う“元気の源”が、東京・半蔵門の老舗町中華『三貴苑』。メニューを開けば、一品料理から麺飯類までずらりと並び、週一で通うという岸氏のような常連客が多いのも納得。

「焼きそばだけでも8種くらいあるのですが、僕はたいてい『五目やきそば』で妻は『ふかひれあんかけ炒飯』を注文することが多いです。どの料理も具材がたっぷりで、家族と一緒においしいね、と言いながら食べるのが本当にしあわせな時間なんです」

どんなときも心にパワーをもたらしてくれる“最上級のB級グルメ”は、岸氏にとってしあわせな時間を象徴するものでもあるようだ。

岸博幸の胃袋を掴んだ、最上級のB級グルメ2選

1.濃厚な味噌スープとにんにくダレが香るご当地麺でパワーチャージ
「ハルピン味噌ラーメン 雷蔵」

肉盛りたれ味噌らーめん¥979

“味噌どころ”が誇る老舗蔵の味噌を6種ブレンド。秘伝のにんにくだれを少しずつスープに溶かしながら味の変化を楽しみたい。

ハルピン味噌ラーメン 雷蔵/Raizo
住所:長野県茅野市本町西9-24
TEL:0266-55-2706
営業時間:11:00~23:00
定休日:無休
席数:50席

2.政治家御用達の老舗町中華で満腹感と幸福感に満たされる
「三貴苑」

五目やきそば¥900

豊富な麺類のなかでも「飽きのこない味」と常連客の指名多数。ボリューム感もたっぷり。

三貴苑/Mikien
住所:東京都千代田区麹町1-8-8
TEL:03-3234-1247
営業時間:11:00~21:30
定休日:無休
席数:18席

岸博幸/Hiroyuki Kishi
慶應義塾大学大学院教授。一橋大学を卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。2007年から現職に。テレビのコメンテーターやバラエティ番組でも幅広く活躍。著書『ネット帝国主義と日本の敗北』他。

TEXT=小寺慶子

PHOTOGRAPH=菊池陽一郎

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