大学院教授や人気コメンテーター、企業の顧問など、さまざまな顔をもつ岸博幸氏。手土産を贈ることも貰うことも多いという岸氏は、どんなモノに感動するのか。相手が幸せな気分になり、その場の会話を弾ませる岸流手土産の流儀を聞いた。
手土産はエンタテインメント。エンタメにはサプライズが必要だ!
人気のショップに並び、「これなら間違いないだろう」と準備した手土産。だが、相手は興味を示さず、さらりと受け流されてしまった。
「手土産はエンタテインメント。人気店のありふれたモノをもらっても、感動はありません。エンタメに重要なのはサプライズ感とハッピー感。僕は手土産を、驚きがあって、相手が幸せな気持ちになれるものという観点でセレクトしています」
そう話す岸博幸氏の忘れられない手土産のひとつに松茸がある。長野県へ家族で出かけた際、知り合いから「山に生えた松茸をとっていいよ」と言われ、子どもたちと一緒に収穫体験。とれたての松茸を大量に近所にお裾分けしたところ、驚かれるとともにその場がハッピーな空気に包まれたという。
「ストーリーがあるものは強い。子どもが手で掘ってきた松茸なんて、そうそうお目にかかれるものじゃないですから。でも、いつもそういうものが手に入るわけではないので、最近は仕事やプライベートで行った地方で出合い、感動したものを選んでいます。信州の手作り生ハムとか、沖縄で見つけたクラフトジンとか。現地に買いに行ったり、通販で頼む時間がない場合は、表参道にあるGENDYのザ・プレミアムビターキャラメルバーを選んでいます」
いずれの商品についても、ストーリーを延々と語れるくらいのうんちくを持っている。手土産はエンタテイメント。エンタメを成功させるには、予習と準備が重要なのだ。
岸博幸のとっておきの手土産3選
1. 那覇のバーで見つけたクラフトジン
瑞穂酒造「JAPANESE CRAFT GIN ORI-GiN1848」
1848(嘉永元)年、泡盛を製造することが許された“首里三箇”のひとつ、鳥堀町に創業した瑞穂酒造。「JAPANESE CRAFT GIN ORI-GiN1848」は、“一口で沖縄の魅力が伝わるジン”をコンセプトに、さくら酵母仕込みの泡盛をベースに開発されたクラフトジン。ジュニパーベリーをはじめ、沖縄特有のボタニカルの香味が心地よく感じられる。「那覇の会員制バーで見つけました。白地に赤の、ジンらしくないラベルデザインもインパクトがあって気に入っています」
2.こんなに美味しい生ハムがあったとは!
八ヶ岳食工房「生ハムのオリーブオイル漬け」
長野県大町の山間で酒粕を使って自然肥育されてる信州ブランド豚「信州吟醸豚」を素材に、15年以上にわたって生ハムを作り続けている八ヶ岳食工房。沖縄の海水で仕立てた天然塩で水抜きを行い、食用醗酵菌を入れて4日間程冷燻。その後、約3ヵ月をかけて熟成作業を行っている。「ヨーロッパ産の生ハムと異なり、塩分が強くなく、ナチュラルな味わい。この生ハムをオリーブオイル漬けにしたものなら、日持ちするので手土産にも便利。日本にもこんなに美味しい生ハムがあったのかと驚かれます」
3.見た目で驚く! まるで葉巻のような大人のキャラメル
GENDY「ザ・プレミアムビターキャラメルバー」
吟味した素材とレシピで1本ずつハンドメイドした大人のためのキャラメルバー。丹念にローストしたビターキャラメルが、スパイスの効いたクッキーと最高の相性を誇る。最初にスパイシーな香りとわずかな塩味が広がり、その後から濃厚な苦みが訪れる。「シリアルナンバーが入った重厚感のある木箱。開くと葉巻のような見た目で、『なんだこれは!』とみんなが驚いてくれます」