VANQUISHや#FR2など、仕かけるアパレルブランドを次々と大成功に導く男、石川涼氏。そんな気鋭の起業家は趣味である時計蒐集においてもケタ外れ。その秘蔵ウォッチコレクションを、ゲーテだけに見せてくれた。【前編はこちら】
もう手に入らない!? お宝ロレックスの数々
渋谷のギャル男をターゲットにしたVANQUISH(バンキッシュ)、交尾するウサギのブランドロゴが印象的な#FR2(エフアールツー)などを立ち上げ、瞬く間に世界的なブランドへと成長させたアパレル業界の風雲児・石川涼氏。
クルマやスニーカーと並んで好きな物のひとつだという腕時計のコレクションは、まさに圧巻。
ロレックスの「エクスプローラー」から始まった石川氏の時計趣味だが、蒐集のメインはやはりロレックス。ただし所有しているのはレアなタイムピースばかりだ。
このクロムハーツとのコラボレーションモデルは、かなり小振りのサイズをセレクト。そこにも石川氏らしい選択眼があった。
「クロムハーツはアクセサリーとしても気に入っているブランドで、今もウォレットチェーンなどを愛用しています。ただし、クロムハーツはブレスレットにしてもそれ自体が重い物が多い。なので、時計はレディースサイズくらいの小さめを狙って探していました。そう言う意味で、非常にバランスのよい一本です」
ロレックス×ティファニーのコラボ「デイデイト」は、前編にて紹介したホワイト文字盤以外に、このブラック文字盤モデルも所有している。
「古いロレックスは、僕の好きなヴィンテージスタイルにマッチしやすいルックス。なかでもゴールドがお気に入りです。特に“ダブルネーム”となると希少性も抜群なので、保証書やボックスが揃った良品であれば、今でも買ってしまいそう」
石川氏のロレックスコレクションはどれも大変希少であるが、なかでも弩級であるのがこの「デイトナ」。フル金無垢の手巻き式「Ref.6263」は、滅多にお目に掛かれない超レアモデルだ。
「歴代デイトナのなかでも、特に人気が高いと言われているこのモデル。今では信じられない価格で取引されていますが、僕が入手した10数年前はそこまで高騰していませんでした。時計屋さんを何軒か回れば見つかるイメージ。今探すとなると、ほぼ無理でしょうね(笑)」
“ダブルネーム”モデルは、カルティエも持っている。
「ベースのモデルは『オイスターパーペチュアル デイト』。カルティエのダブルネームということで購入しました。6時位置の赤文字がいいアクセントになっています」
「他の人と被らないような時計を着けたい」
趣味が高じて、時計好きの友人も多くできたという石川氏。彼らと一緒に、時計の高級店巡りをすることもあるのだそう。その付き合いのなかで手に入れたのが、パテック フィリップの「ノーチラス」史上初となるクロノグラフ「ノーチラス・クロノグラフ 5980/1」。しかも、金無垢モデルだ。
「これは僕のコレクションのなかでも特別な時計。世界的に購入が難しいとされるモデルで、手に入れられたのは奇跡だと思っています。かなり高価ではありますがちゃんと普段使いしていて、Tシャツ短パンにこの時計を合わせたり(笑)。個人的な考えですが、そういった使い方が似合う時計だと思っています」
こちらもパテック フィリップの「アクアノート・クロノグラフ 5968」。タフな印象のカーキグリーンがポイントだ。
「これも友人の紹介で入手したモデルです。カーキ色のアウターが好きでよく着るのですが、それにも合うかなと思って購入しました。僕がつけているのを見て、何人かが『それ欲しい!』と言ってきましたね」
今回の石川コレクションのなかでも異彩を放つのが、フランク ミュラー「ヴァンガード」の#FR2コラボモデルだ。
「ある時ゴルフ場でプレーをしていたら、スタッフから『フランク ミュラーから連絡がありました!』と電話が。『そんなことあるわけねえだろ』と無視していたのですが、どうやら本当にフランクミュラーの海外チームが連絡してきたみたいで。聞けば、僕のブランドを知って一緒に時計が作りたいという用件でした。時計ブランドとのコラボは初めてで、思い出深い一本となっています」
複数の超絶タイムピースを所有する石川氏。最近はどんなモデルを愛用しているのか聞くと、オーデマ ピゲの「ロイヤル オーク」を出してくれた。
「今年の1月頃に買ったばかりの時計で、最近はもっぱらコレを愛用しています。ちょっと大きいかな? と思ったけれど、実際に着けてみるとしっくりきて腕なじみもいいし、シンプルゆえに視認性も抜群。ステンレススチールモデルなので、今日のようなGジャンの装いにも違和感なくマッチするところもいい。持っている時計のなかで、今はこれが一番気に入っています」
「他の人と同じ時計を持っていてもつまらない」と話す通り、仕事も時計蒐集もいっさい妥協せず、我が道を突き進む石川氏。時計がそこまで好きなわけじゃない、と笑うが、その顔からは時計に対する思いがにじみ出ていた。