連載「ヴィンテージウォッチ再考」の第20回は、「アフタ」の店主・牧野弘生氏がセレクトしたロレックスの「オイスターパーぺチュアル」Ref.1002を2本取り上げる。
ツウ好み。34mm径の控えめな佇まいが魅力のモデル
無数にあるヴィンテージロレックスのなかで「オイスターパーペチュアル」Ref.1002に目をつけた、中目黒の「アフタ」の店主・牧野弘生氏の審美眼は面白い。
ヴィンテージロレックスの名機だと言われる自動巻きムーブメントを搭載したRef.1002は、同じ34mm径の手巻きのモデルと比べると、やや薄型ケースにぼってりした丸みが感じられる日付表示機能がないため、サイクロップレンズが付いた風防と趣が異なる。認知度が高いモデルではないため、掘り尽くすとさまざまな面白い個体が見つかるかもしれない。
牧野氏がここにある2本のRef.1002選んだ理由は、シンプルなデザインであることを前提に、ヴィンテージウォッチとしてトータルのバランスに優れている点に強く惹かれたからだという。
1本目は、1964年製造のミラーダイヤル。ただでさえ、玉数が少ないミラーダイヤルであることと、程よくブラウン化した“トロピカルダイヤル”が高く評価されている。特色のない表情の個体に比べて価格は多少高く感じられるかもしれないが、実際に状態のいいミラーダイヤルを見つけるは難しい。ミラーダイヤルの表情は光の加減でかなり変わる。
もう一方の、クロコダイヤルのストラップがよく似合う9Kイエローゴールドケースは、ほぼ完璧なミラーダイヤルの艶感も相まって、非常に整ってる個体だ。
かなり珍しいモデルなので、このチャンスを逃すと入手はかなり厳しいことになることが予想される。グリーンがかった9Kイエローゴールドケースはギラつきとはほぼ無縁。デイリーユースで大活躍するはずだ。
誰もが目を眩ませるスーパーヴィンテージも確かに魅力的だが、少し視点をずらして市場を見渡すと、これまで見えなかった景色が広がる可能性も大いにあるだろう。
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アフタ http://after.llc/
■連載「ヴィンテージウォッチ再考」とは
インターネットやSNSの普及からあらゆる時代の時計が簡単に入手できるようになった。そうはいったところで、パーツの整合性や真贋の問題が問われるヴィンテージウォッチの品定めは一筋縄ではいかない。本連載では、ヴィンテージの魅力を再考しながら、さまざまな角度から評価すべきポイントを解説していく。