連載「ヴィンテージウォッチ再考」の第7回は、ロレックス「コスモグラフ デイトナ」からRef.6241の“ブラウンアイ”を紹介する。
プレキシガラス製ベゼルを備えた希少モデルRef.6241の魅力
ヴィンテージロレックスの人気を牽引する、「コスモグラフ デイトナ」の手巻きモデル。クオリティの高い個体は市場から減る一方だが、通称“ポール・ニューマン ダイヤル”をはじめ、購入の選択肢は無数にある。
歴代モデルを大別すると、ねじ込み式のクロノグラフプッシャーの採用を境に、防水性能はもちろんのこと、デザインにも様々な違いが出てくる。
ここで紹介するRef.6241は、ポンプ式のクロノグラフプッシャーの時代では、初めてプレキシガラス製のタキメーターベゼルを備えたモデルである。先行して1963年に発表されたRef.6239と比較すると、Ref.6241は製造期間が1967~1971年頃までと短命であったことから希少性が高い。
ダイヤルについては、「COSMOGRAPH」の表記の下か、あるいは12時間積算計の上に「DAYTONA」のプリントが入ることが主な特徴であり、カラーはブラックとシルバーの2種類がある。特にRef.6241の後期モデルは、ムーブメントやブレスレットの仕様は異なるものの、後続機のRef.6264とデザインが酷似しているため、見分けることが難しい。
こちらの1967年に製造された個体について解説していこう。真っ先にチェックすべきポイントは、ヴィンテージウォッチの命ともいえるダイヤルのコンディションだ。マニアの間で珍重されている“ブラウンアイ”と呼ばれる経年変化したサブダイヤルはプレミアプライスの対象となり、針や夜光塗料の保存状態も上々だと言える。
Ref.6241の個性であるプレキシガラス製のベゼルは整合性を必ず確認したいパーツに挙がる。同じようにブレスレットのオリジナリティにもこだわりたいところだが、Ref.7205/FF71のリベット式ブレスレットは極めて入手が困難になっていることが実情であり、年代の合う「コスモグラフ デイトナ」専用のブレスレットの有無で価格が大きく変わる。
「コスモグラフ デイトナ」の手巻きモデルの評価は、世界的に見ても揺るぎないものになっているが、残念ながら個体差が激しいことは否めない。そこでの良し悪しを判断するためには、知識と経験、どちらも欠かすことはできない。数少ないチャンスをものにして、ヴィンテージロレックスの真髄に触れてみるのも一興だろう。
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連載「ヴィンテージウォッチ再考」とは……
インターネットやSNSの普及からあらゆる時代の時計が簡単に入手できるようになった。そうはいったところで、パーツの整合性や真贋の問題が問われるヴィンテージウォッチの品定めは一筋縄ではいかない。本連載では、ヴィンテージの魅力を再考しながら、さまざまな角度から評価すべきポイントを解説していく。