職場では、仕事の大変さを主張する人ほど業務量が調整され、評価も高いことがある。一方、黙って仕事を引き受ける人ほど負担が増える。そんな不公平感を抱いたことはないだろうか。プレーヤーは我慢すべきか、それとも主張すべきか。5,000社以上が導入する組織マネジメント理論「識学」を提唱する安藤広大氏が解説する。#その他の記事

主張が強い人は、ただ文句を言っているわけではない
【相談】主張が強い人のほうが得をする?(20代・営業職)
職場では、自分の大変さや忙しさをよく主張する人ほど業務量が調整され、希望も通りやすいように見えます。一方で、黙って対応している人ほど追加の仕事が回ってきます。私自身も頼まれた仕事を断らずに対応しているうちに、気づけば業務量が増え、負担が大きくなってきました。
さらに、主張が強く、業務を選んでいるように見える人のほうが評価も高く、実際にボーナスも自分より高い結果になっていました。最近は「文句を言ったほうが得をするのでは」「黙ってやる人が損をしているのでは」と感じてしまいます。プレーヤーは「我慢して引き受ける」か「主張する」か、どちらを選ぶべきなのでしょうか。
「主張が強い人がいるとのことですが、もしその内容が、自分の責任を果たすために自分の状況を伝えるなど、仕事上の権限に関する主張であれば、主張することは正しい行動です」
声の大きな人が言っていることが、ただの文句や愚痴であれば、それは責任逃れにすぎず、周囲からの評価も下がるはずだ。安藤氏は、相談者が主張の強い人として捉えている相手も、単に文句を言っているのではなく、自分に与えられた責任を果たそうとしている可能性があると指摘する。
「『頼まれた仕事が断れない』という相談や、『仕事のできない後輩への対処法』でもお伝えしましたが、自分に与えられた責任を果たすためには、できないことを上司に伝える必要もあります。
今回のケースも、外からはただ主張が強いように見えても、実際には文句ではなく、自分の仕事における責任と権限を上司に明確に伝えているのではないでしょうか。
だからこそ、今回の相談者も黙ったまま悩むのではなく、自分の仕事の状況を俯瞰的に捉えたうえで、できることとできないことを上司に相談すべきだと思います」
責任を果たすために、できることとできないことを主張する
ただし、主張することには責任が伴うことも忘れてはいけない。
「『これはできません』ということは、『あとはできます』ということ。その宣言ができるかどうかが問われます。相談者の方は『言ったもの勝ち』と捉えているかもしれませんが、そうではなく、言ったからには大きな責任が生まれます。
逆に言えば、権限を主張しない人とは、責任を取りたくない人とも言えるでしょう。例えば、『こんなに仕事がいっぱいあって無理だ』という言葉は、裏を返せば『できなくても仕方がない』と捉えているということ。すでに自分のなかで言い訳が成立していて、責任感がない状態なんです。
ただの文句なら楽なんです。自分の仕事の成果が上がらなくても、会社のせいにできますから。しかし、それを続けていても、不満だけが蓄積し、自分は成長しません。
『我慢して引き受ける』か『主張する』かという選択であれば、責任を果たすために、きちんと主張すべきだと思います」
文句ではなく、自分の責任を果たすための建設的な意見であれば、それは正しい主張となる。自分の責任と権限を明確にし、必要なことを上司に伝える。その一歩が、自らの成長につながるはずだ。
安藤広大/Kodai Ando
識学 代表取締役社長。1979年大阪府生まれ。早稲田大学卒業。大学時代はラグビー部に所属し、勝敗と向き合う厳しい環境で4年間を過ごす。NTTドコモ入社後、営業としてキャリアをスタート。上場企業への転職を経てマネジメントに携わるなかで、「人のやる気」や「人間力」に依存する組織運営に限界を感じ、識学と出合う。誤解や錯覚を排した明確なルールと仕組みによるマネジメント理論に強く共感し、事業部の立て直しでその有効性を実証。2015年に株式会社識学を設立し、創業4年足らず(3年11ヵ月)東証グロースに上場。現在は延べ5,000社以上の組織改革を支援している。組織マネジメントに関する著書は『リーダーの仮面』などベストセラー多数。「がんばっている人が、正しく報われる組織を増やしたい」という思いが、識学の根底にある。

