ソロアーティストとして1stアルバム『JUKE BOX』をリリースするHOKUTO。グループでの研鑽を土台にソロデビューから1年。その歩みは軽やかで力強い。ジャンルの枠を超え、多彩な音楽性を打ちだしたアルバムには、29歳という現在地から生まれた飾らない言葉と確かな手応えが宿っている。

自由と革新、その表現の先へ
29歳という年齢を「現在地」としてどう捉えているのか。これまでの歩みと、これからの展望。目まぐるしい日々を送る吉野北人から発せられた言葉は、思いのほか具体的で、同時に俯瞰的でもあった。
「17歳でこの世界に入ってからちょうど12年が経ちました。バス1台で全国17都市を巡り34公演を敢行した“武者修行”から始まって、アリーナツアーを何度もやらせていただき、コロナ禍を乗り越えてドームにも立たせてもらった。役者をはじめ個人の仕事も増えていき、夢のひとつだったソロアーティスト・HOKUTOとしてのデビューも実現できました。今までやってきたことが点ではなく、ちゃんと線としてつながった実感もあり、ひとつのカタチになってきている手応えがあります。表現者としても、自分の見せ方や、何を届けるべきかという輪郭が少しずつはっきりして、成長できているのかなと感じます」

1997年3月6日宮崎県生まれ。16人組ダンス&ボーカルグループ、THE RAMPAGEのボーカルとして、2017年に「Lightning」でメジャーデビュー。2025年5月、HOKUTO名義でソロデビュー。4thシングル「hate you? love you?」が現在放送中のTVアニメ『神の雫』のオープニングテ—マに起用されている。
歩んできた道筋が表現の幅へと接続された
17歳の頃、29歳の自分を具体的に思い描いていたわけではないという。それでも、振り返れば胸を張れるだけのものが着実に積み重なってきた。「今のところは合格だと思いたい(笑)。ただ、ひとりでは絶対にここまで来られなかった。出会いがあり、支えがあって、今がある。だからこそ、周りの人たちを大切にしながら、みんなでこの先も進んでいきたい。感謝を決して見失わずに」
ソロとしての1stアルバム『JUKE BOX』は、ジャンルに縛られない多彩な音楽性を内包した1作。その構成自体が、現在の彼の表現力の豊かさと成熟を雄弁に物語っている。
「ひとつのジャンルにとらわれて『HOKUTOってこうだよね』と規定されるのではなく、『こういうこともやるんだ』という意外性や驚きを届けたかったんです。いろんな表現に挑戦して、その幅ごと楽しんでもらいたい。好みもそれぞれあると思うので、ジャンルの幅を持たせることで、聴き方にも選択肢が生まれる。全体としてポジティブな楽曲が多いのも、ひとつのコンセプトとして明確に意識しました」
タイトルも実に象徴的。異なる色をひとつの作品のなかに共存させ、聴き手に委ねる。その軽やかな響きの奥に、確かな意志が静かににじむ。
「タイトルは自分から提案しました。JUKE BOXってポップでどこか愛らしいイメージがあって、自分のアーティスト像とも重なると感じて。好きな曲を選べる仕組みも、このアルバムとリンクしている。その時々の感情やシーンに合わせて選んでもらえる作品にしたいという意図がありました」

模索する過程ごとすべてが成長につながる
自分がやりたい音楽と、求められている音楽。その両立は、感覚に頼るのではなく、冷静な判断の積み重ねのなかで導きだされたものだ。
「もちろん自分がやりたいと考えている音楽もありますが、一方でファンの方に求められているものも理解しているつもりです。今回は自分のキャラクターがより映える方向や、求められているであろう要素を意識しました。今後はもう少し自分のやりたい方向に寄せていくかもしれないですが、結局はバランスだと思っています」
ソロ活動においては、そのバランスを自ら設計する立場にある。意思決定の精度も、経験によって磨かれてきた。
「ソロはすべて自分軸になるので、自然と戦略的に考えるように。それが可能なのは、これまでの蓄積があるから。10代や20代前半は自分を俯瞰して見ることができていませんでしたが、経験を重ねて客観視できるようになったことは大きいです」
THE RAMPAGEとしての吉野北人と、ソロアーティスト・HOKUTOでは、役割や意思決定の在り方が異なる。
「チームにはチームのコンセプトがあって、そのなかで役割を担っていますが、ソロは最終的な判断も含めてすべて自分が担う。ライヴの構成や空気のつくり方も含めて、まだまだ模索している段階だけど、そのプロセス自体が確実に成長に直結している実感があります」
負荷は増しているはずだが、本人の感覚はむしろ軽やかだ。複数の領域を横断することで、思考のリズムを保っている。
「アーティスト活動に限らず、演技やラジオなど異なるジャンルを行き来することが、自然な気分転換になっているのかもしれない。体力的にきついことはありますけど、切り替えは得意ですし、好きなことをやっているので、ずっと楽しいですね」
仕事とプライベートの境界線も敢えて引かない。創作は日常の延長に置かれている。
「作詞は移動中に外を眺めている時にふと浮かぶことが多いです。少しざわついた環境だったり、音楽を聴いて気持ちを動かすなかで言葉が生まれます」

会いに行って歌を届ける。表現の原点に立ち返る
最近は、表現の届け方そのものへと意識が向き始めている。歌という表現のその先にあるものを見据えながら──。
「ソロとしても、笑顔を届ける活動を続けていきたい。例えば、ご高齢の方と触れ合える場所にうかがって歌わせてもらうとか……。親が介護士で、子供の頃からそうした場に触れてきたので、この思いは自然と培われてきたものだと思います」
支援の在り方として、「会いに行く」ことを選びたいという。物理的な距離を縮めることそのものに価値を見いだしている。
「寄付や募金ももちろん大事ですが、それ以上に直接会いに行って届けることに意味を感じています。対面で生まれる表情や反応には、何にも代えがたい価値がある。ツアーで各地を回りながら、その土地の施設に立ち寄って歌うようなかたちも実現できたらと思っています。会場に来られない方には、自分から届けに行きたい。誰かに届いたものが、また次の誰かの背中を押していく──、その循環の流れにいられること自体が、僕が活動する意味でもあるから」
information|1stアルバム『JUKE BOX』2026.6.3リリース!
”音楽のおもちゃ箱”をコンセプトに、ポップやR&B、ダンスミュージックなどジャンルに縛られない楽曲を詰めこみ、幅広い音楽性と表現力を提示。蓋を開けるまでわからない高揚感と、選ぶ楽しさを内包したタイトルには、「矛盾を愛せ、自分のすべてを愛せ」というメッセージも重ねられている。





