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2026.02.24

最小限の投資で最大限の体験を──河村真木子、子供に伝える投資術

外資系金融機関でキャリアを磨き、現在は国内外で総会員数2.7万人超え、“最先端の情報が集まる”と人気のオンラインコミュニティを主宰する河村真木子さん。新著『外資系金融ママがわが子へ伝えたい 人生とお金の本質』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)より一部抜粋。最終回。【その他の記事はコチラ】

富裕層ごっこ、週末海外旅行ーー河村真木子、子供に伝える投資術
Unsplash/Chelsea Gates ※写真はイメージ

週末海外旅行のすすめ

モノを捨てて身軽になったとき、私は「モノではなく経験にお金を使いたいのだ」とつくづく悟りました。高価なモノは飽きるけれど、豊かな経験は飽きることなく、人生を満たし、自分の生きる糧となってくれる。つまり自分への投資になると感じるようになったのです。

「ベータ運用」「アルファ運用」を学ぶためにも、経験は大切。

もちろん経験するにはお金が必要です。たとえば「旅」は経験への投資の最たるものですが、移動費、宿泊費を考えたら「0円」というわけにはいきません。若いうちは使えるお金も限られていますが、それでも工夫次第で世界観を広げることができます。

たとえば「海外旅行は近場でも1泊はしたい」というマインドセットをはずす。ワーカー時代の休みは土日だけですから、「週末1泊2日のシンガポール旅行」などをよくやっていました。なぜそこまでして旅をしていたかといえば、「ジェットストリームの弾丸旅行が趣味!」というわけではなく、自分をアップデートするためでした。

私は外資系企業で働いていたので、普段から外国人と接することも多く、オンラインの会議を含めれば、かなりの時間、海外と接点がありました。

「それなのに」というより「それゆえに」旅をしていたと言えます。接点が多いからこそ、外国人と自分のギャップを強く感じるようになっていきました。

「みんな世界の金融市場を見ながら仕事をしている。日本にずっといる私には、見えない・感じられないものを知っている」

私が扱っているのは、世界の政治、経済、地政学の影響を受ける金融商品や投資のプラン。

「経済は感情で動く」と行動経済学で言われるように、言語化されない人々のメンタリティも、お金の流れを動かしています。

そしてそれは、いくら日常的に外国人と話していても、オンラインでやりとりしてあらゆるものをスマホで見られても、わからないものなのです。

海外に定期的に行かないと、自分の情報がアップデートされず、仕事に支障をきたすという明確な危機感がありました。

コストパフォーマンスで考えれば、高い飛行機代を出してたった1泊で帰ってくるというのは、リーズナブルでないどころか損です。

しかし、「自分への投資」と思えば、週末海外旅行は、私にとって大いにリターンがありました。

たった1泊で香港やシンガポールへ。出張でニューヨークやロンドンもよく行っていましたが、プライベートでも行き、肌で感じて新しいものを吸収して帰ってくるのが好きでした。

いろいろな人に会い、会うことはなくても街を歩いて、トレンドを見つけたり、その国と日本の違いを実感したり。

2010年代中頃は世界のデジタル化が急速に進んでいることが実感できる時期だったので、社会のインフラを見るだけでも発見だし、街を歩いている若い子たちのトレンドに気づけることも貴重でした。

日本はユニークで、他の地域に比べてよくも悪くも浮いていることがすごく多いのですが、他の国を知っていてこそ、「差異」に敏感になります。

事業を始めてからも、海外は時間を見つけて行くようにしています。

富裕層ごっこ

20代で就職したばかりの頃、お金がない私が「最小限の投資で最大限の体験を」と考えたのが「1泊だけ豪華ホテルに泊まる」というもの。

外資系の場合、入社して1年も経てば「一人前の戦力」として扱うというのはすでに述べたとおりで、私もすぐにニューヨークなどの海外出張に行くようになりました。

その際、会社が用意してくれるのは、マリオットやヒルトンのような、いわゆる普通のシティホテル。決して安ホテルではないし、広めのバスルームと大きなベッド、ビジネスパーソンの出張としてはかなり良いほうでしょう。

「会社が払ってくれるから、1週間の出張中はそこに泊まる」

これが素直かつリーズナブルなやり方かもしれません。

しかし、私はそれをしませんでした。

「ニューヨークの超一流ホテルに泊まってみたい。そういうところで過ごす人が何を感じ、どう過ごしているかを、体感したい」

たとえばマンダリンオリエンタルなど、明らかに20代の自分には「分不相応なホテル」をあえて選び、会社が出してくれる経費でなく、自分のお金で泊まりました。

「なぜ、仕事で泊まるホテルに自費で?」

「上司や同僚も同じホテルなのに自分だけ別行動はわがままでは?」

そういう意見があるかもしれませんが、知ったことではありません!

背伸びの体験こそ、自分への投資になるはずだし、決して無駄ではないと思っていました。

もちろん、1週間の出張すべてを豪華ホテルに変更するのは予算的に不可能ですし、また仕事上でも合理的ではありません。

そこで「最後の1泊だけ、泊まってみよう」と決めました。

ビジネスパーソン向けのホテルに1週間近く滞在した後、チェックアウトして超高級ホテルに行く。これには意外なメリットもありました。

「どこがどう違うんだろう?」

そんな比較対象として普通のホテルに泊まったばかりなので、観察が的確になるのです。

滞在している人の立ち居振る舞い、サービスの違い、働いている人たちの様子をじっくりと見て、お金持ちの世界観を感じる。これは富裕層を相手に金融商品を売る営業という仕事でも役に立ちましたし、いずれはお金持ちになりたい、事業主になりたいという自分の目標に近づくことでもありました。

30代になると、ミシュランで星がついたレストランにもたくさん足を運ぶようになりました。2000年代の当時でも、1回食事に行けば最低でも5万円ぐらい。当然、これも経費では落ちません。

その頃の私にとっては「いくらなんでも背伸びのしすぎ」でしたし、1000円くらいでおいしいものが食べられる日本で、食事のために50倍ものお金をかけるのは、素直に「死ぬほど高い!」と思いました。

それでもどんなサービスが繰り広げられていて、カトラリーはどんな感じで、食事の出し方はどういう感じかを見ているだけで勉強になり、自分の目が養われました。常連であろう富裕層らしき人たちの何気ない仕草も、聞こえてくる会話も、勉強になりました。

「経験」を買うためには、「びっくりするほど高い!」という足がグラグラするくらいの背伸びをする。そのほうが刺激があって学びは大きくなります。

また、経験には無理やり捻出する「お金」と一定量の「時間」が必要なので、無限大に使うのは不可能です。それなら「高すぎるがハイリターン」の経験にしぼったほうがいいと考えるようになりました。

こうした経験を繰り返すうちに私の「本当に投資になるものだけにお金を使う」というスタイルが次第にできていきました。そのために、気がついたら収入と支出のバランスも取りやすくなり、貯蓄に回せる金額も自然と増していきました。

河村真木子/Makiko Kawamura
1976年奈良県生まれ。父の転勤に伴い、10歳~15歳をシンガポールで過ごし、'92年に帰国。大阪府の公立高校に入学したものの、'94年、単身でアメリカに渡り、ロサンゼルスのLe Lycee Francaise de Los Angels高校に編入。'96年同校卒業後、関西学院大学に入学するも自主退学し、再び渡米。コミュニティカレッジを経てUCバークレーに編入し、2000年に卒業。外資金融機関などでキャリアを積んだ後、2021年、オンライン事業Holland Village Members' Clubを設立。著書に『外資系金融ママがわが子へ伝えたい 人生とお金の本質』『超フレキシブル人生論 ”当たり前“を手放せば人生はもっと豊かになる』他。現在は、会員制Holland Village Private Caféの運営も手がける。

TEXT=河村真木子

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