壊れていない人間に、革命は起こせない。50歳の節目に、50人が語る“本当”の前澤友作とは。著書『偽善者』から一部抜粋。今回は、前澤友作の食アドバイザー/はらぺこ代表取締役社長・見冨右衛門。

店のスタッフにも「一杯どう?」
僕は Twitter で「前澤友作の食のアドバイザー募集」というのを見て応募しました。当時は広告代理店に勤めていて兼業でできると思っていました。でもいざ採用段階になると「会社を辞めてきてほしい」と言われたんです。ただ迷いはなかったですね。絶対に面白いことがあると思いましたから。
給料がめちゃくちゃよくなったわけではないですよ(笑)。会社員時代と同じくらい。それよりも前澤友作という人間と、自分の好きな食の分野でどんなことができるのか、楽しみな気持ちのほうが大きかったんです。
最初の仕事は前澤さんが行きたい店を予約し、知らない美味しい店を紹介すること。最近は決まった店に行くことが多いのでだいぶ減りましたが、多いときは年間200軒くらい予約していました。僕はその作業を続けながら、前澤さんの食の好みを少しずつ把握していった感じです。
7年間、たった一人のために食のことを追求してきたんですけど、世界中探してもそんなことをやっている人間はいないんじゃないでしょうか。おかげで最近ではインスタやウェブの写真を見ただけで、前澤さんが好きな店、好きなメニューかどうかわかるようになりました。
好きなのは素材に忠実な料理。シンプルなものを好みます。フレンチでソースをちょんちょんちょんみたいなのとか、素材をこねくりまわしたような料理は好きではない。寿司とか焼き鳥とか、王道だけどそれを極めて、高い技術が感じられるような店は喜びます。
あとは、こういうと怒られるかもしれないけど、おこちゃま的なものも好きです。ケンタッキーフライドチキンは大好きだし、ジャンクフード的な味はだいたい好きだと思います。
嫌いなものは......話し始めたら数時間かかるのでやめておきましょう(笑)。ざっくり言うと、野菜ほぼ全部とチーズ、乳製品。でもチーズはダメだけどマルゲリータは好きとか、野菜もすりおろして見えなければOKとか、細かい好みもたくさんあります。
いろいろなお店にその細かい説明をするのも私の仕事なんですが、どんなにワガママを言っても前澤さんって飲食店から嫌われることがない。前澤さんの場合、自分の好きなワインを遠慮なく店に持ち込むし、ときにはワイングラスまで持ち込むこともある。
普通ならめちゃくちゃ嫌がられる客です。でもむしろ前澤さんが行った店の人はみんな好きになるんです。それは、例えば、その店の一番若いスタッフにまで「1杯どう?」と声をかけてワインを振る舞うから。シェフやオーナーにそういうことをする人はいても、スタッフにまでご馳走したりしません。行き届いた気配り、目配り。そりゃ愛さ れますよね。若いスタッフにも忘れられない経験になると思います。

