ビジネスパーソンを取り巻くさまざまなストレス。重要な仕事や難度の高い仕事はストレスが強くかかることも多い。森田恭通氏が考えるメンタルの強さとは。デザイナー森田恭通の連載「経営とは美の集積である。」Vol.57。

失敗を恐れずに挑戦する、最強メンタルの作り方
世の中には理不尽で、正論やルールが通用しないことも多々あります。さらに経営者は決断を迫られる場面も多く、精神的な負担はかなりのもの。仕事の重圧やストレスを上手く処理できないとメンタルに不具合が生じることもあります。
でも周りを見渡すと、僕の近しい人は最強のメンタルを持っている方々ばかり。各業界のオピニオンリーダーである皆さんを客観的に分析すると、共通するのは思考の切り替えの速さです。それこそ鋼のメンタルを持っていないと、その重圧に耐えられない。そこで戦っているのはその方ご自身です。
「他の人が挑戦していないプロジェクトを実現したい」「無理と言われる難題を解決したい」「常に最高の仕事をしたい」と、決して現状維持はしない。想像するだけで身震いするような重圧に自ら立ち向かわれています。成功ばかりでなく、時に失敗もあるのかもしれないと思うのですが、失敗を恐れずに挑戦もされています。
そして、よくても悪くても「次に行きましょう!」と常に前を向き、進む。この繰り返しが彼らのメンタルを強くしていくのだろうなぁとつくづく感じます。
ビジネスにおいてお互いに相手のことを想いながらコミュニケーションを取ることは大切なことです。そして人への接し方や話し方などの振る舞いは重要なスキルのひとつ。まずは相手のことを考え、ゆっくり落ち着いて話すことです。初対面の時に起こりがちですが、自身の情報を次から次へと伝え、不安をかき消すかのように早口でたたみかけるかのように話してしまうと会話が空回りしてしまい、相手に伝えたいことが伝わらないことが多いように感じます。
最近、若い世代の方のメンタルについて耳にすることがありますが、ネガティブな要素を強く持っている人は少ないような気がします。今は個人の選択肢が多く、仕事ひとつにしても自分には向いてないとわかったら、キャリア変更することも視野に入れられます。ネットやSNSを活用しつつ、フットワークも軽い。しかし裏を返せば、自分の軸を持っていないと、目移りばかりして自分の進む道がブレてしまうことがある。選択肢が多いことはメリットもあり、デメリットもあります。
グラマラスのスタッフには入社時に、独立もしくは数年後の自分が目指すゴールを決め、その日から逆算して仕事をするようにと伝えています。仕事は目標を決めないと得られるものも少ないからです。「これを実現させたい」「これを経験して身につけたい」。その積み重ねによって仕事に自信がつき、メンタルも強くなります。
短期間に大きな目標を掲げると失敗もその分大きくなりますし、実現することも難しくなるでしょう。“目先”という言葉を悪い意味に捉えず、目の前にある目標を日々クリアしていきながら、達成感を得て、常に前を見る努力を続ける。そしてギアは常にニュートラルに。これは僕自身の心がけでもあるのですが、トップギアで走り続けては息切れするし、ニュートラルでいるからこそ変幻自在でいられると思うのです。
さて、そう話している僕のメンタルは果たしてどうなのか? 大きな仕事でも、自分の個展でも、緊張することなく常にワクワクしている。つまりメンタルは強い、ということにしておきましょう(笑)。
森田恭通/Yasumichi Morita
1967年生まれ。デザイナー、グラマラス代表。国内外で活躍する傍ら、2015年よりパリでの写真展を継続して開催するなど、アーティストとしても活動。オンラインサロン「森田商考会議所」を主宰。