天地人代表取締役の櫻庭康人氏と、TXアントレプレナーパートナーズ副代表理事 筑波大学客員教授の尾﨑典明氏。起業家とメンターという関係のふたりを紹介する。

天地人代表とメンター、宇宙とバスケと熱い想い
櫻庭 内閣府主催の宇宙ビジネスのコンテスト「S-Booster」で初めてお会いして、メンターになっていただいたのが、2017年でした。
尾﨑 突拍子もないプランにびっくりしたんですよ。でも、簡単に想像できるようなものよりも、エッジの効いたアイデアのほうが面白いと思いました。
櫻庭 農作物の振興に関わる仕事はしていたものの、宇宙のことはまったくわからなかったんです。
尾﨑 たしかにビジネスの実現性は厳しかった。だから、残念ながら入賞はできなかった。でも1年間、僕がメンターを務めるのが、コンテストの約束で。
櫻庭 最初にお会いした時は、扇子でパタパタされていて、怖い人かな、と思いました(笑)。
尾﨑 初夏で暑かったから。
櫻庭 でも、話してみたら、まったく印象が変わりました。月に2度ほどお会いして、いろいろ教えていただいて。
尾﨑 櫻庭さんはふわふわした不思議な印象でした。強烈なリーダーシップを発揮するとか、そういうタイプじゃない。でも、その意外性がまたよくて。そうしたら性懲りもなく、翌年またコンテストにエントリーしてきた。
櫻庭 今の事業のもとにもなった宇宙から地上の栽培好適地を見つけるというアイデアで、現実的に狙いに行きました(笑)。結果、入賞することができて。
尾﨑 いいアイデアだと思ったので、この会社が利用してくれるかも、なんて伝えたら、本当に福岡にまで訪ねに行ってたね。
櫻庭 コンテスト規定のメンターの役割は終わってたのに、起業に当たって本当にたくさんサポートしていただきました。1円も払ってないのに。
尾﨑 スタートアップからお金を取るわけにはいかないから。
櫻庭 しかも、バスケットボールがお互い好きで。
尾﨑 昔お互いバスケをやっていて、バスケ話で盛り上がるよね。
櫻庭 ご一緒させていただいたNBAファイナルのパブリックビューイング、楽しかったです。
尾﨑 朝8時から(笑)。
櫻庭 もっとワクワクするのが、12月の高校生の全国大会。
尾﨑 ウインターカップね。あれは、本当にいい。
櫻庭 毎年、楽しみにしています。感動して、泣いちゃったこともありますもん。
尾﨑 荒削りだった子の成長した姿を見ると、ウルッとくる!
櫻庭 いつか会社を大きくして、バスケットボールのチームを、みんなで持ちたいです!

天地人 代表取締役。1982年青森県生まれ。多様な人的ネットワークと多数のスタートアップの設立・事業拡大を通じて身につけた新規事業開発、農業IoTセンサ開発などの経験を活かし、2019年に起業。
尾﨑典明(右)
TXアントレプレナーパートナーズ副代表理事 筑波大学客員教授。1978年福岡県生まれ。九州工業大学大学院修了。コンサルティング会社にて新事業開発、知財戦略立案等に勤しみ、2009年に独立。企業や自治体、スタートアップに対して支援を行っている。公職多数。
尾崎 そういえば、バスケを一緒に観に来た小学生の息子が、櫻庭さん大好きなんです。優しいし、紳士だから。
櫻庭 今年も行きましょう。
尾崎 ふわふわしてるんだけど、思い切った行動にも出る。テレビ番組の「がっちりマンデー」に出たときも、出演者の経営者の要望に「すぐやりまーす」なんて気軽に応えてたりして。そういうところがまた面白くて。
櫻庭 尾崎さんは本当にスタートアップ愛がある方。その熱量の強さ、本当に尊敬しています。僕もたくさん人を紹介しちゃってすいません。
尾崎 ややこしいのもいたな、そういえば(笑)。
櫻庭 飲みにも連れて行っていただいて。
尾崎 お金をもらわないどころか、ご飯もご馳走してる(笑)。また、いいタイミングでメッセージがやってきたりして。お腹すきました、みたいな(笑)。
櫻庭 2ヵ月に1回くらいは言ってますね。会いたくなるんです(笑)。
尾崎 会社も従業員が70人を超える規模になった。マネジメントでも、自分の個性を活かせているからだと思う。
櫻庭 そういえば、衛星開発の件、ありがとうございました。
尾崎 しばらく自前で衛星は持つな、とアドバイスしていたよね。でも、やりたくてしょうがなかったのはわかる(笑)。
櫻庭 やっぱり独自のものがあれば、競争力にもなります。
尾崎 ちょっと早い気もするけど、まぁいいと思う。
櫻庭 これからも、どうぞよろしくお願いします。あ、ご飯もまたぜひ(笑)。