俳優、ミュージシャンの内田朝陽氏と、ゼネラルモーターズ・ジャパン 代表取締役社長の若松格氏。音楽を通して親しくなったというふたりのエピソードを紹介。
胸いっぱいの愛を
若松 朝陽の実家のお店に20代の頃から通っていて、朝陽のことは子供の頃からよく話を聞いていた。
内田 僕は子供の頃はお店に出入り禁止でした。
若松 とにかく温かくて、素敵な大人がたくさんいる店で。
内田 店で会うようになったのは、デビューしてからですよね。
若松 朝陽は会うたび、どんどん身体も大きくなり、たくましく立派になっていったね。
内田 友人の俳優たちと、お店でよく過ごしていました。
若松 ちょうど上海駐在中に、NHKの朝の連ドラに出ると聞いて毎朝、見てたのを覚えてる。
内田 僕が印象深いのは、やっぱりシンガポールです。「NARUTO」の1ヵ月のアジアツアーの最後にお会いできて。
若松 シンガポールに駐在中だった。ご家族から連絡をもらっていて、まずは舞台を見せてもらって。それからメシでも行こう、と鮨を食べに行ったね。
内田 1ヵ月ぶりの和食は、本当に美味しかったんです。この時、初めてたくさんお話をして、それから、いい店があるんだ、とライヴハウスに連れていってもらって。
若松 音楽はいい。
内田 そうしたら、若さん、自分もすっかり楽しんでるんですよ。それを見て、心を開きました(笑)。この人は肩書きで生きてる人じゃない、信用できる、と。
若松 そういえば、音楽で生きていきたかった話とか、サーフィンやスケボーをやってた話、その時したかな。
内田 帰国された時、僕がちょうどスケボーを再開したところで。理想の板を組んで、それをお店で見せたら、ちょっと乗らせてよ、と。スーツでスケボーやりだすんですから(笑)。
若松 おっさんにスケボーなんかできるわけないじゃん、と思われたら癪(しゃく)だから(笑)。
内田 止めましたけど、僕が。危ないもん(笑)。ただ、これで、また急接近しましたね。この人、本気で面白いな、と。
若松 この間、一緒に演奏したのも楽しかったね。
内田 レッド・ツェッペリンの「胸いっぱいの愛を」。
若松 内田家の地下のスタジオには、僕のドラムスティックが置いてあるから。
内田 僕がイントロを弾いたら、若さんがドラムで完璧に入ってきてくれて。
若松 ベースの子も入ってきて、その場でセッション。あれはけっこう熱が入った(笑)。
内田 またやりましょう!
若松 若い頃は音楽の夢があったけど、心が折れてしまった。朝陽がやっているのが悔しい(笑)。ギター持つと、かっこいいフレーズとか、すぐ弾けちゃうんだよなぁ。
内田 バンドのデビューライブも見に来てくださって。
若松 ソロでやっている小さなライブも見に行ったよ。
内田 そうしたら、俺も参加したいな、と(笑)。それで、「セカンドハンド」という曲に、若松さんが社長を務めているGMのカマロのエンジン音とワイパー音をサンプリングして入れたんです。一緒に演奏してますよ、と。
若松 メンバーの山田孝之さんにも、いつでもドラム叩けるよ、と言ったんだけど。体良く断られたということかな(笑)。
内田 そういえば、カマロやキャデラックに乗っていて、車で困ったときによく電話してましたね。社長に聞くことじゃなかった(笑)。
若松 朝陽も本当に飾らないよね。俳優としての朝陽も応援するけど、本当に素のままに生きている。だから好奇心が素直に動くし、表現力に溢れている。これが刺激になる。
内田 若松さんもですよ。悩みも聞いてもらっているけど、泣きそうになって話をする僕の前で、若さんが先に泣いてくれて。あれは、うれしかった。
若松 いや、なんでも語り合えるのがいい。でも、反省は短めに(笑)。これからも一緒に楽しんでいこう。
内田朝陽氏着用衣装:ジャケット¥64,900、パンツ¥47,300(ともにエイトン TEL:03-6427-6335)