PERSON

2024.08.10

宮崎市長×IT起業家。東大医学部から転身、枠にとらわれず挑戦するふたり

宮崎市長の清山知憲氏と、MICIN代表取締役CEOの原聖吾氏。大学で出会ったふたりのエピソードを紹介。

宮崎市長・清山知憲氏(左)と、MICIN代表取締役CEO・原聖吾氏(右)
宮崎市長の清山知憲氏(左)と、MICIN代表取締役CEOの原聖吾氏(右)。

学生時代から社会的課題に関心が高かった

 3年生で本郷のキャンパスに移って、最初の全体講義で私も清山も最後列にいたんだよね。

清山 そうそう。近くにいたみんなで昼飯を食べに行って。

 最後列だから、やる気がないのかと思ったら、違って。

清山 みんな授業は出てたね。

 清山はまっすぐな印象だった。能力には無限の可能性がある、と信じるような(笑)。

清山 いやいや、そうだったかな。原はクールで冷静だけど、素直だなと感じた。自分のことはあまり語らず、人の話を聞くのがうまかったよね。好奇心が強いんだな。

 みんなで宮崎にも遊びに行ったな。清山は実家がお蕎麦屋さんなのに、蕎麦アレルギーだと聞いてびっくりした。

清山 シュノーケリングや阿蘇でパラグライダーもやって。忙しく勉強するなか、部活もやっていたよね。

 国際交流関係の活動をしていたね。

清山 本当に活動的だったよね。

 清山とは、一緒に医学部の五月祭の実行委員会もやった。科学的思考がテーマで、いろんな人を外から呼んだりして。

清山 その頃からみんな、社会的課題に関心が高かった。仲良くなった友達は、似たような志向を持っていたんだと思う。

 それから沖縄の病院での実習も一緒で。

清山 民宿みたいなところに一緒に泊まったな。

 清山の一生懸命に臨床に取り組む姿勢は刺激になった。

清山 原はプラットフォームとかビジネスとか、世の中の医療を取り巻く仕組みの面で関わりたいという意識が、研修で高まったのでは。

 そうかもしれない。清山もニューヨークの病院で働いてから、地元に戻って政策の仕事に関わることになる。きっかけは地元や家族を大事にしたいという思いだったと聞いて、素晴らしいと思った。

清山 原は学生時代から国会議員秘書のインターンに行ったり、マッキンゼーの人と勉強会をやったり、キャンパス以外で経験を重ねてた。そういう姿は刺激になった。黒川清先生の秘書になったのは、びっくりしたけど。

 医学部を出ると臨床医か基礎研究医になるのが普通だけど、我々の学年は10人以上そうじゃない。異端の学年なんだよね。

清山 枠にとらわれず、挑戦したい世代なんじゃないかな。

 デジタルの力が活かせるところでもいいし、いつか何かを一緒にできたらいいね。

宮崎市長・清山知憲氏(左)と、MICIN代表取締役CEO・原聖吾氏(右)
清山知憲(左)
宮崎市長。1981年宮崎県生まれ。東京大学医学部卒。沖縄県立中部病院勤務を経て、2008年アメリカの病院へ。2011年に県議会議員に立候補し2期の県議を経て、2022年に選挙で宮崎市長に当選。
原聖吾(右)
MICIN(マイシン)代表取締役CEO。1981年東京都生まれ。東京大学医学部卒。医師研修の後、医療政策立案に携わる。スタンフォードMBA、マッキンゼーを経て、2015年MICIN設立。オンライン診療の提供や治療用アプリを開発。

清山 お互い学生時代にはまったく予想していなかったことをしているし、将来がどうなっているのか、楽しみだね。

 県議になったのもびっくりしたけど、市長選に出馬するのも、本当にすごいと思った。応援に行ったのを覚えてる。ちょっとお手伝いしたくらいだけど。

清山 原はやっぱり素直な人だよね。だから、いろんな人たちの懐に入るのがうまい。繋がるのが上手。こだわりなく、いろんな人と一緒になって、形にしていくのがうまい。

 昔の仲間の活躍が、折に触れて聞こえてくるのは、うれしい。チャレンジしていく姿勢は、僕自身のエネルギーの源になっている。ありがたい環境だね。

清山 僕も大きな挑戦をしたいし、刺激を受けたいね。人生長いので、何ができるか、まだまだ思いつかないけど。

 特に医療はデジタルの力がまだまだ活かせる領域がたくさんある。オンライン診療もそうだし、デジタルセラピューティクスもそう。もっと医療が身近になるように取り組みを進めていきたい。

清山 それにしても、人のことについて話すのが、うまいな(笑)。そしてクールで何でもできるけど、実は研修で診療中、聴診器を手にしたままウトウトしかけたのを知っている。

 そんなこと、あったっけ? でも、研修医時代は本当にハードで寝ていなかったので。

清山 でも、当直が続いたらそういうことも起こる。クールな中でも、こういう素直さがまた、原らしさだと思ってる。

 それにしても、よく覚えてるな(笑)。

TEXT=上阪徹

PHOTOGRAPH=長田慶

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