放送作家、NSC(吉本総合芸能学院)10年連続人気1位であり、王者「令和ロマン」をはじめ、多くの教え子を2023年M-1決勝に輩出した・桝本壮志のコラム。
1月にピッタリの相談を親戚からもらいました。
「いくつになっても、やる気がなかなか出ないんだよ。お前のまわりのヒットメーカーは、どうやって出してるの?」
長い休み明けの通勤のだるさ、去年の忙しさやツラさがフラッシュバックして目の前の仕事にフリーズしてしまう。あるあるですよね?
ぶっちゃけ、そんなあなたは「まとも」で「正常」です。やる気があるように見える人も、あなたが見ているのは一側面で、普段はけっこうダラダラ、ぐだぐだしていますからね。
では、そんな万人の障壁である「やる気」はどんなふうに出したり、考えたりしていけばいいんでしょうか?
今回は、僕が1万人の生徒たちに伝えてきた思考法をシェアしてみたいと思います。
やる気は「自分×○」を掛け算しないと出てこない
僕は、『さんまのまんま』の作家でもありますが、以前さんまさんは、「仕事を楽しむ方法」を聞かれ、「それぞれの職場に好きな人をつくる」とおっしゃっていました。
明快ですよね。各番組の収録にいる、ADさんでも、メイクさんでも、カメラマンでもいい。好きだなと思う人をつくれば、おのずと仕事が楽しくなりますもんね。
僕は、「やる気」も同じメカニズムだと思っています。私たちは、他者から説得されたり、ド正論を言われても「やる気」は出ません。しかし“メリットを見つけると、やる気が自発”します。
例えば、正月休み明けは誰もが出勤が億劫になるものですが、なかには職場に好意をもっている人がいて、「久々に再会できる」と考えている人もいるはず。きっとその人は出勤がイヤではないでしょう。これは、無意識に「メリット」を見出してやる気が自発しているんです。
仕事はどれも面倒くさいし面白くないけど、「資料作り→語彙力がつく」「対面会議→優秀な人の身ぶり・所作・会話術を知れる」「パワハラ上司→いつかリーダーになる自分の反面教師になる」といった塩梅で利点を見出せます。
あなたは「やる気は自分の内側から出てくるもの。やる気が出ない自分は情けない」と思っていませんか?
「やる気を出そう」と思わず、「メリットを見つけてみよう」と思考し“自分×メリット”をクセづけしていくと、やる気はおのずと生まれやすくなるんですね。
なので僕は、よく吉本NSCの生徒たちにこんなふうに伝えます。
「面白い仕事はほとんどないけど、仕事を面白くしている人は本当にいるよ。僕が見てきた人気芸人さんやヒットメーカーはそういった人。皆さんも、自分×メリットの方程式を身につけて、仕事を面白くする人を目指しましょう」と。
目の前の仕事を「3つの箱」で考える
多くの人の「仕事のイメージ」を聞かれたときの回答は、おおよそ「しんどい」や「面倒くさい」などのネガティブなワードに集約されていきますが、僕は生徒たちに“3つの箱で考えてみよう”と伝えています。
私たちの人生には3つのタスク、①仕事の課題 ②交友の課題 ③恋愛の課題、があるとされています。
僕はこれと同じように、目の前の仕事も3つの課題に分けることができるのでは? と考えて、実践しています。
その3つとは、①お金のため ②キャリアのため ③チャレンジのため、です。
1つめの箱は、ぶっちゃけ生きていくにはお金が必要なので、どんなに面倒でも「これはお金のため」と割り切ってやる仕事。
2つめの箱は、どんなに面白くなくても「これは自分のスキルやキャリアアップになる」と考えてやる仕事。
3つめの箱は、対価は薄く、時間も削られるけど「やってみたい、攻めてみたい」と思えるチャレンジの仕事、です。
こうやって、頭の中に3つの架空BOXを常設して、オファーされる仕事を、いずれかの箱にパパッと振り分けていく。そうすることで「やる意味」の解像度はあがり「やる気」に直結していく。
言い換えると、この振り分けがぼんやりしていると、「やる意味」を見出せない迷路に入り込み、やる気が出にくくなるんですね。
やる気は寝そべっていると出てきて、立ち上がると寝そべる厄介なもの。でも冒頭で伝えたように、それが「まとも」で「正常」なので、2025年もうまく付き合っていきたいですよね。
ではまた来週、別のテーマでお逢いしましょう。