NCT 127のメンバーとして活躍。今秋には待望のソロデビューも果たした中本悠太。12年前、練習生となるため韓国へ渡った彼は、今や日本と韓国、そして世界をつなぐトップアーティストとなった。オール韓国で撮影した写真集未掲載カットとともに、韓国の魅力、そして自身の今を語ってもらった。【昂る、ソウル】
「K-POPの完成度の高まりを、日々感じている」
2012年にSMエンタテインメントのグローバルオーディションに合格した、初の日本人練習生、中本悠太。韓国に渡ったのは、16歳の時。
「韓国に来てから今までを振り返って、一番最初に思い浮かぶのは、別れる時のお母さんの顔。そして、初めて乗ったタクシーのメーターです(笑)。当時は今と違って物価が安く、初乗り料金が240円くらいだったことに驚きました。食事の時におかずがいっぱい出てくることや、必ずみんなで一緒に食べるところも日本とは違いますね。
練習生の時、ひとりでいるとみんなが心配してくれて。ひとりになりたい時もあったけど、僕のことを見てくれているんだなと感じて救われたことも多かったです。連絡をすぐに返さないと怒られるし、乾杯は1杯目だけじゃなく2杯目以降もずっと全員で。“みんなでやる”ことが、すごく大事なんだと思います」
人のアツさを感じるのは、仕事の現場でも同様だという。
「作品づくりでは、計画どおりに進めることより、現場の空気を大事にしているのを感じます。その結果、とんでもない爆発力のあるものが生みだされることが多く、苦労も報われるというか、納得できるものを届けられているのかなって。
エネルギッシュな理由? 物理的なことですが、キムチとか辛いものをよく食べていることも一因にありそう(笑)。韓国のキムチって、すごく酸っぱいんです。最初は苦手でしたけど、だんだんと酸味を美味しく感じるようになり、今では日本でいうとお味噌汁や納豆を食べた時のような安心感があるほど。年を重ねるにつれてキムチの偉大さを強く感じています。ちなみに、焼くと500倍美味しくなるので、試してみてください」
韓国の魅力として、トレンドの移り変わりが早く、常に新しいものに出合えることが挙げられる。でも、「静かな場所のよさも知ってほしい」と悠太。
「僕は自然や歴史を感じる建物がある安国洞(アングクドン)という場所がめちゃくちゃ好きで。理由はわからないけど落ち着くし、ヒーリングできる。なんか、時々呼ばれるんです(笑)。あと、写真集の撮影で、6〜7年ぶりに東大門(トンデムン)に行ったけれど、逆にこんなに変わらない場所もあるんだと嬉しい気持ちに。練習生の時にみんなで自転車に乗っていたチャムス橋を訪れた時は、自然と笑顔になりました。いい街はたくさんあるので、いろいろな場所に目を向けてみてほしいです」
K -POPは今、日本はもちろん、世界中から熱い視線を集める大きなコンテンツとなっている。エンタメ界の中心に身を置く立場として、そうした現状をどう捉えているのだろうか。
「すごく誇らしいことであり、改めてエンタメの持つ力はすごいと思っています。僕自身、正直こんなに世界のいろいろな国でコンサートをさせてもらえるとは思っていませんでしたから。僕たちNCT 127のことを実力派と評価してくださる人もいますが、そんなことはなく、もっと上手なアーティストの方ばかりだなと。日に日に、K-POPの完成度が高くなっていくのを肌で感じています」
数多くのアーティストが切磋琢磨するなかで、ソロデビューという新たな、そして勇気ある一歩を踏みだした。
「やってやるぞ、という気持ちと同時に、壁にぶつかることも絶対にあるだろうな、とも。メンバーがいる時とは違い、もちろんスタッフさんはいますが、ひとりでアイデアを出してまとめていくので。自分の作品に対して返ってきたものの受け止め方や責任感も、より強くなるでしょうし。困難に直面した時に自分がどう対処して、次にどうつなげていくかということは楽しみであり、怖くもあります」
ソロで表現したいものを考えるにあたり、自身と向き合う時間もおのずと増えた。
「毎日毎秒、考えています。だから最近、自分から少し気をそらすために読書をするようになりました。でも、わかったのは、自分は昔から変わらないということ。生きてきた年数や経験値によって対処の仕方や、自分の見せ方は上手になるけど、持って生まれた恐怖みたいなものとは、一生付き合っていくしかないんだなと。不格好なところは隠しているとしんどくなるから、今後はさらけだしていきたい。完璧すぎるものも、あまり好きじゃないので。
ショーケースツアーのタイトルは『HOPE』ですが、“こんな俺を好きでいてほしい”という想いを込めました。ファンの方に対しては、ずっと応援してくれて、待っていてくれてありがとうという気持ちです。ひとりの人間を応援することって労力がいるじゃないですか。僕は僕のやりたいことを貫き、頑張って返していくだけですが、信じてついてきてほしいなと思っています」
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この記事はGOETHE 2024年12月号「総力特集:昂る、ソウル」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら