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ENTERTAINMENT

2023.10.13

K-POPアイドルと俳優の所得差は2倍以上!? 韓国のギャラ事情

世界的に人気を博しているK-POPと韓国ドラマだが、歌手と俳優のギャラ事情とは一体? ビジネスパーソンとしてキャッチアップしておきたい。連載「ビジネスパーソンのための韓タメ最前線」とは

BTS、BLACKPINK、IUらK-POPアイドルと俳優の所得格差

芸能人は「夢のある職業」と言われるが、それは本当なのだろうか。

先日、韓国の国会会議でK-POPアイドルや俳優ら芸能人たちの平均年収の最新データが発表された。

国税庁が作成した「2017〜2021年業種別芸能人収入金額現況」によると、2021年に所得を申告したK-POPアイドル7,720人の合計年間所得は5,156億4,500万ウォン(約571億1,022万円)だという。1人当たりの平均は6,679万ウォン(約732万3,744円)だ。

なかでも特に注目を集めたのは、K-POP歌手の所得上位1%となる77人の所得だった。

おそらくBTSやBLACKPINK、IUら大人気アーティストたちが含まれるであろう上位1%の歌手たちが、全体所得の約70%を占める3555億6,600万ウォン(約393億8,068万円)を稼いだという。

1人あたりの平均所得は46億1,774万ウォン(約5億1,143万円)。新型コロナの影響を受けた2020年には17億6,652万ウォン(約1億9,368万円)だったが、コロナが落ち着いたことでV字回復した模様だ。

一方で、2021年に所得を申告した俳優1万6,935人の年間所得は、計7864億7,600万ウォン(約860億8,580万円)だった。なかでも上位1%の169人の所得が計3829億3,800万ウォン(約424億564万円)と全体所得の約50%を占め、1人当たりの平均は22億6,590万ウォン(約2億5,136万円)となった。

同じ上位1%でも、平均46億ウォンを稼ぐ歌手と、22億ウォンを稼ぐ俳優。K-POPも韓国ドラマも世界的に人気を博しているのに、所得では2倍以上の差がついた結果となった。

K-POPアイドルが俳優転向する理由

K-POPアイドルの収入源は精算金(CMギャラ、番組出演料、イベント、海外ツアー、グッズ販売など)、音源の売り上げ、著作権料、音楽・番組の二次使用料などさまざまある。特に海外ツアーは「一度、海外公演のツアーをすればビルが買える」という言葉もあるほど、最大の収入源になるという。

それに比べて俳優の場合は、作品の出演料、興行報酬、CMギャラと、比較的シンプルな収入構造。一部の人気スターは作品活動をせずともCM出演だけで収入を確保したりするが、やはり映像作品にたくさん出演することが高所得につながるそうだ。

興味深いのは、所得の格差があるにもかかわらず、俳優転向を目指すK-POPアイドルが多いということだ。

音楽活動に憧れる俳優は極わずかだが、俳優に憧れるアイドルは数知れず。最近は、アイドル志望でありながら将来の俳優デビューを念頭に置いて演技レッスンを受ける練習生たちも多いという。

実際に、Netflixシリーズドラマ『マスクガール』に主演したナナ、『ミセン -未生-』の主演で『イカゲーム』シーズン2に出演が決まったイム・シワン、『スタートアップ:夢の扉』『アンナ』などのペ・スジらがアイドル出身俳優として成功している。

先日はドラマ『恋慕』『明日』などに主演したロウンが、アイドルグループのSF9から脱退・俳優転向を宣言して話題を呼んだ。また、歌手として所得上位1%と思しきIUやBLACKPINKのメンバーたちも、歌手活動と並行して女優業も行っている。

このような現象の原因としては、K-POPアイドルの闇としてよく言及される「7年契約の縛り」や「過酷な労働環境」「年中無休で要求される感情労働」などはもちろん、俳優に比べて短いアイドルの寿命や、ステータスの低さなどが考えられそうだ。

表向きは華やかだが、実は徹底した格差社会の芸能界。だからこそ、多くの芸能人が見えないところで汗と涙を流し、自分の夢を叶え人々に夢を与えようと頑張っているのかもしれない。

■著者・李ハナ
韓国・釜山(プサン)で生まれ育ち、独学で日本語を勉強し現在に至る。『スポーツソウル日本版』の芸能班デスクなどを務め、2015年から日本語原稿で韓国エンタメの最新トレンドと底力を多数紹介。著書に『韓国ドラマで楽しくおぼえる! 役立つ韓国語読本』(共著作・双葉社)。

 ■連載「ビジネスパーソンのための韓タメ最前線」とは
ドラマ『愛の不時着』、映画『パラサイト』、音楽ではBTSの世界的活躍など、韓国エンタメの評価は高い。かつて「韓流」といえば女性層への影響力が強い印象だったが、今やビジネスパーソンもこの動向を見逃してはならない。本連載「ビジネスパーソンのための韓タメ最前線」では、仕事でもプライベートでも使える韓国エンタメ情報を紹介する。

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TEXT=李ハナ(ピッチコミュニケーションズ)

PHOTOGRAPH=bfa.com/アフロ

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