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2023.09.08

衝撃作『マスクガール』が描く、現代の韓国社会に蔓延するルッキズム

人気同名ウェブトゥーン漫画を実写ドラマ化した韓国発Netflixシリーズ『マスクガール』が話題だ。人間の価値を測るうえで「外見」を最も重要な要素とする考え方、ルッキズムを風刺したエンタメ作品のヒットが後を絶たないが、ビジネスパーソンとしてキャッチアップしておきたい。連載「ビジネスパーソンのための韓タメ最前線」とは

Netflixシリーズ「マスクガール」独占配信中

世界で話題沸騰

顔のコンプレックスに囚われすぎた女性は、どこまで転がり落ちるのか――。

幼い頃から人前で歌って踊る歌手を夢見るも、顔がブサイクなため挫折した女性の壮絶な一代記を描いたNetflixシリーズ『マスクガール』が話題だ。

2023年8月18日の配信開始から2週目でNetflixグローバルTOP10のテレビ部門(非英語部門)の1位を獲得。計72ヵ国でTOP10入りを果たしたというが、本国の韓国はもちろん、日本でも「今日のTV番組TOP10」で1位(2023年8月31日時点)となる人気ぶりだ。

主人公のキム・モミをはじめ、彼女を取り巻く人々にもスポットを当てる群像劇であり、物語は退屈する暇なく予測不能な展開に突き進む。

整形や老化で変わっていくモミは、韓国ドラマの女王といわれるコ・ヒョンジョン、ファッションモデルでアイドルでもあるナナ、新人のイ・ハンビョルの3人の俳優がそれぞれ演じ分けたのだが、各女優たちは他の演者の撮影分を見せてもらえなかったという。

整形や殺人、逃亡、出産、収監など、人生で何度も分岐点が訪れるモミだからこそ、制作陣は各女優たちの演技にあえて類似性を求めなかったのだ。

その狙い通り、各女優たちの怪演によってすべての場面が説得力を帯びるのだから不思議だ。

社会問題、人間の歪んだ欲望を巧みな演出と演技で描く

『マスクガール』は、全体を通して現代の韓国社会に蔓延するルッキズム(外見至上主義)を風刺している。

小学生の時は母親から「その顔で歌手に? 目を覚ましな」と冷やかされ、中学生になると同級生たちから「おい、ブサイク!」と茶化されるモミ。歌手の夢は周囲の影響で徐々に薄れていき、27歳のモミは「人と違う人生を送るはずが、人と同じ人生を送っている」地味な会社員になっていた。

ただ、そんな彼女にも自慢できるものがある。スタイルのよさだ。それも男性たちに崇められるほどの抜群のスタイル。

モミは顔をマスクで隠した「マスクガール」というネット上の有名人として、自己顕示欲と承認欲求を満たしている。大勢の視聴者の前でダンスを踊りながら投げ銭をもらうモミの姿は、モミがルッキズムの被害者であると同時に助長者でもあることを示唆する。

ただ、ドラマが強調しているのはあくまでもルッキズムに囚われ、破滅していく女性の悲劇だ。

第1話の後半では、電車で痴漢に遭った(と主張する)モミに向け、加害者と疑われる男がこう言う。

「鏡で顔を見てみろよ。こんなブスを触るわけがない」

ブスなら性犯罪の対象ですらならないと言わんばかりのセリフは、女性の顔に対する社会的な基準が存在するという悲しい逆説だ。

スタイルと顔の不調和がもたらした混乱が、モミを波乱万丈な人生へ導く。

韓国は美に対しての意識が日本より強く、国際整形医学会の調査では人口対比整形手術回数で何度も1位を記録した。

そのためルッキズムや整形を題材にしたコンテンツも数多いが、『マスクガール』ほど韓国社会の暗部をえぐり出した実写作品は今までなかったかもしれない。

社会問題、人間の歪んだ欲望などが巧みな演出と演技で描かれた韓国ドラマ『マスクガール』。世界が注目する衝撃作だけに、一見の価値ありだ。

マスクガール
自分の外見にコンプレックスをもつ会社員が、マスクで顔を隠してインターネットのライブ配信を開始。だが、次々と降りかかる不幸な出来事により、その人生は思わぬ方向に転がり始める。全7話。原作は同名の成人ウェブトゥーン。
2023年/韓国
出演:コ・ヒョンジョン、アン・ジェホン、ヨム・ヘランほか
演出・脚本:キム・ヨンフン
Netflixシリーズ「マスクガール」独占配信中

■著者・李ハナ
韓国・釜山(プサン)で生まれ育ち、独学で日本語を勉強し現在に至る。『スポーツソウル日本版』の芸能班デスクなどを務め、2015年から日本語原稿で韓国エンタメの最新トレンドと底力を多数紹介。著書に『韓国ドラマで楽しくおぼえる! 役立つ韓国語読本』(共著作・双葉社)。

 ■連載「ビジネスパーソンのための韓タメ最前線」とは
ドラマ『愛の不時着』、映画『パラサイト』、音楽ではBTSの世界的活躍など、韓国エンタメの評価は高い。かつて「韓流」といえば女性層への影響力が強い印象だったが、今やビジネスパーソンもこの動向を見逃してはならない。本連載「ビジネスパーソンのための韓タメ最前線」では、仕事でもプライベートでも使える韓国エンタメ情報を紹介する。

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TEXT=李ハナ(ピッチコミュニケーションズ)

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