PERSON

2024.10.18

「ゴッホの絵は、生前1枚しか売れなかった」わけではない!? 西野亮廣が『ストーリーマーケティング〜ゴッホの嘘〜』というテーマで、ブランディングの本質を語る!

23万部のロングセラー『夢と金』の著者であり、今、ビジネスパーソンが追うべき人物の筆頭である西野亮廣さん。2025年のミュージカルのために、密着ドキュメンタリー「BackStory」を展開している西野さんが、自分の経験を紐解きながら「ストーリーマーケティング」について解説する。自分でコンテンツを作って、自分のファンを作って生きていこうと思っている人は、これを読まなければ始まらない! 今回も、音声メディア「voicy」で配信中の「#西野さんの朝礼」から編集してお届けする。(※今回の記事を音声で楽しみたい方はコチラ

今日は【ストーリーマーケティング 〜ゴッホの嘘〜】です。

第166回
アート(アーティスト)の価値というのは、ただ単なる絵の上手さ(技術点)だけじゃなくて、『そこにどんなストーリーが乗っかっているか?』という【意味】もポイントに加算されている!

西野亮廣

「ストーリーで集客する」ということについて

今日は「ストーリーで集客する」ということについて、お話ししたいと思います。

先日、YouTubeの西野亮廣チャンネルにアップされた『大阪・関西万博の個展をコンサル』という動画はご覧になられましたでしょうか?

「まだ見ていない」という方の中で、自分でコンテンツを作って、自分のファンを作って生きていこうと思っている人は、そのへんのツマンナイ動画とか、目立った実績の無い人が書いた自己啓発本なんか見なくていいから、とにかく、この動画を見てください。

タイトルそのまま「大阪・関西万博で個展をするアーティストさんを、どうプロデュースしていくか?」というメチャクチャ具体的な話をしているのですが、その中で「ストーリー」の重要性について説いています。

説明するまでもありませんが「アート(アーティスト)の価値というのは、ただ単なる絵の上手さ(技術点)だけじゃなくて、『そこにどんなストーリーが乗っかっているか?』という【意味】もポイントに加算されている」と。

これって今風に言うと「ブランディング」と呼ばれるものですけども、「アートの世界では昔から、いろんなアーティストが画商と組んで、ブランディングを仕掛けていた」ということを動画では話しています。

その中で取り上げたアーティストの1人が「ゴッホ」です。

あまりにも有名なあの逸話、どう考えても怪しいんです

ゴッホは「生前、1枚しか絵が売れなかった(死んでから、その才能が認められた)」という逸話があまりにも有名で、皆、このストーリーにやられていますが、これはどう考えても怪しいんです。

まず、パッと見た感じで言うと、「大量の絵の具を使ってるけど、1枚しか絵が売れてないわりには、材料費ハンパないっすよね?」という疑問がある。

しかも何年も残り続ける質の良い絵の具を使っている。

あと、ゴッホは、あの色彩から分かる通り、日本の浮世絵マニアで、浮世絵漬けと言っても良いほど浮世絵へと傾倒していきました。

ゴッホが収集した日本の浮世絵作品は400点以上あって、ついにゴッホは浮世絵コレクターとして浮世絵の展覧会を開催したりしているんです。

生涯で絵が1枚しか売れていないわりには、ずいぶんな金持ちムーブをかましている。

「1枚しか絵が売れていない不遇の天才なんでしょ? どゆこと?」という話なんですけども、これは以前もvoicyでお話ししましたが、少しカラクリがありまして…2011年12月11日の日本経済新聞に、面白い記事が載っておりまして、一部、紹介させていただきます。

「画家の兄(ゴッホ)と画商の弟(テオ)は、早い時期に契約を結び、『兄が制作した全作品を弟に提供するかわりに弟は兄に毎月一定の生活費を送金する』という対等な関係になった。敏腕の画商であったテオは、純粋な兄弟愛から契約したというより、兄の才能を冷静に見極め、成功することを確信していたという。実際、ゴッホは生前から画家仲間や一部の批評家に非常に高い評価を得ていた。しかし、画家が没すれば作品価格が急騰するという目論見(もくろみ)もあって、テオはあえて兄の作品を売らずに保持していたという」

日本経済新聞 2011年12月11日 朝刊、美術史家・宮下規久朗による新関公子著『ゴッホ 契約の兄弟』(ブリュッケ)の書評より抜粋

つまり、ゴッホの絵は「生前1枚しか売れなかった」わけではなくて、「ゴッホが描いた絵は、画商である弟のテオが全て買い占めていたから、市場には出回らなかった(=市場では売れなかった)」というだけの話で、「死んでから評価された不遇の画家」でも何でもなかったんです。

絵は全作売れていたし、食うもん食っていたし、浮世絵が好きすぎて浮世絵の展覧会を開催していたし、なんなら、弟のテオに「もっと金をよこせ。他の画商に売るぞ」的な手紙を書いていたりする(笑)。

でも、「ゴッホ展」を開催する時には、この部分は前面に出さず、「死んでから評価された不遇の天才」みたいな打ち出し方をしているんです。

なぜ、そんなことをするかというと(察するに)、何者にもなれないまま歳を重ねてしまった人に対して「俺の才能はまだ見つかっていないだけ。あのゴッホがそうであったように」と思ってもらい、そういう人達の「希望」になる為だと思われます。

狙ってそうなったのか、たまたまそうなっちゃったから後乗りしたのかは分かりませんが、つまるところゴッホは、「俺、まだまだやれる」と思いたい層をメインターゲットにおいた「希望マーケティング(ストーリーマーケティング)」なんです。

「こんな素晴らしい作品ですよ!」を連呼するよりも…

西野亮廣チャンネルにアップした動画では、もう少し踏み込んだ話をしているので、詳しく知りたい方は動画でチェックしていただくとして…、「ゴッホより、俺の方が魅力的な絵を描くけどな」と思っているアーティストはゴマンといると思いますが、「ゴッホよりも俺の方が魅力的なストーリーを持ってるけどな」と思えているアーティストはいなくて、ここから分かる通り、最後は「ストーリーの有無」で勝負が決まっている。

今、2025年の夏に上演するミュージカル『えんとつ町のプペル』の密着ドキュメンタリーを毎週金曜日に流していますが、あれなんてまさに「ストーリーマーケティング」そのもので、「こんな素晴らしい作品ですよ!」を連呼するよりも、キャストやスタッフのストーリーを打ち出していった方が劇場に足を運んでもらえると思っているからやっているわけで、そういう目でアレ(密着ドキュメンタリー)を見ると、また違った味わい方ができるんじゃないかなぁと思っています。

注目のビジネス書

『夢と金』が各ランキングの年間1位に!

■楽天Kobo ビジネス書2023年間ランキング1位
■2023年オリコン年間”本”ランキング「自己啓発書」ジャンル1位
■ビジネス書累計が100万部突破!
※Amazonランキング書籍総合1位にも! コチラから

ミュージカルのお知らせ

お知らせ! 2025年8月9日〜30日、ファミリーミュージカル「えんとつ町のプペル」が大劇場・オーケストラ版での上映決定!

開催日:2025年8月9日(土)〜 30日(土)
会場:KAAT 神奈川芸術劇場(神奈川県横浜市中区山下町281) 

お知らせ! ミュージカル「えんとつ町のプペル」密着ドキュメンタリー【BackStory】を毎週金曜日に配信

西野亮廣

総再生回数1000万回突破!(YouTubeショート・TikTok含む)
毎週金曜日20時にミュージカル『えんとつ町のプペル』制作の裏側ドキュメンタリーを配信しています!
【#1】【#2】【#3】【#4】【#5】

最新回は【元・劇団四季俳優が絶賛!】『キングオブコント』ファイナリストの実力

ショート動画はこちら【YouTube】【TikTok】

■毎週金曜日に『BackStory』を流している西野亮廣のYouTubeチャンネルのメンバーシップに加入すると、【メンバーシップ限定特典】が2つ!
その1:『BackStory』の動画制作における西野亮廣のガチダメ出しをノーカットで見ることができる!
その2:「先行公開」として、他の人よりも早く観れる!

ミュージカル「えんとつ町のプペル 」VIP席 発売中!

映画のお知らせ

最新作のコマ撮り短編映画『ボトルジョージ』が、札幌国際短編映画祭で「アニメーション特別表彰」&「最優秀作曲賞」を受賞! さらにサンフランシスコ国際映画祭ほか、海外の映画祭から招待&ノミネートが続々!

2024年10月15日現在、
【San Diego International Film Festival】(米国)
【Newport Beach Film Festival】(米国)
【Austin Film Festival】(米国)
【SPARK ANIMATION】(カナダ)
【San Diego Asian Film Festival】(米国)
が決まっています!

西野さんの『ボトルジョージ』に対する想いとは? こちらをチェック!

ボトルジョージ

発売中&予約受付中

■12点のイラストすべて西野さんの描き下ろし! 部屋に飾りたい! 「AKIHIRO NISHINO SKETCH BOOK CALENDAR 2025」 カレンダー発売中!

■CHIMNEY TOWNが運営するクラウドファンディング【PICTURE BOOK】

「挑戦する人」と「応援したい人」が集まる オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』を運営しているCHIMNEY TOWNが作った、クラウドファンディングのプラットフォームです!

《大阪平野の夜景を一人占め》HIBARI GOLF(宝塚市)のVIPラウンジ『星の絨毯』(2024年9月オープン)の【共同オーナー】(年間3日×7年分の貸し切り利用権)募集中!

■『星の絨毯』の【1日利用権】も仮予約受付中!

イベントのお知らせ

『西野亮廣講演会』全国各地で続々開催決定!

『西野亮廣講演会』のお知らせです。
下記の都道府県で開催が決まっています。

  • 11月6日(水)に岐阜
  • 11月7日(木)に大阪
  • 11月11日(月)に広島
  • 11月13日(水)に沖縄
  • 12月4日(水)に愛知

私、西野亮廣がマイク一本で1時間半ほど喋る変なイベントです。チケットをお求めの方は、『西野亮廣全国講演会』で検索してみてください。サロンメンバーさんが作ってくださったイイ感じのホームページに飛びますので、そちらから。会場によっては、まだ、チケットを発売してなかったりしますが、そのへんはご容赦ください。

書籍のお知らせ

  • 最新絵本『みにくいマルコ~えんとつ町に咲いた花~』のご購入はこちら
  • 73万部の絵本『えんとつ町のプペル』のご購入はこちら

NFTのお知らせ

子供たちに絵本を贈るプロジェクト「『CHIMNEY TOWN GIFT』のNFT」が話題に!

バンドザウルスのお知らせ

オンラインサロン・SNS・Note・Voicy


TEXT=西野亮廣

PICK UP

STORY 連載

MAGAZINE 最新号

2024年12月号

昂る、ソウル

東方神起

最新号を見る

定期購読はこちら

バックナンバー一覧

MAGAZINE 最新号

2024年12月号

昂る、ソウル

仕事に遊びに一切妥協できない男たちが、人生を謳歌するためのライフスタイル誌『ゲーテ12月号』が2024年10月24日に発売となる。今回の特集は“昂る、ソウル”。最高にエンタテインメント性に富んだ国、韓国をさまざまな方向から紹介。表紙は東方神起が登場。日本デビュー20周年を目前に控えた今の心境を教えてくれた。

最新号を購入する

電子版も発売中!

バックナンバー一覧

SALON MEMBER ゲーテサロン

会員登録をすると、エクスクルーシブなイベントの数々や、スペシャルなプレゼント情報へアクセスが可能に。会員の皆様に、非日常な体験ができる機会をご提供します。

SALON MEMBERになる