放送作家、NSC(吉本総合芸能学院)10年連続人気1位であり、王者「令和ロマン」をはじめ、多くの教え子を2023年M-1決勝に輩出した・桝本壮志のコラム。
苦手な相手とも心穏やかに付き合うコツ、教えます
人間の「悩み」の9割は「対人関係」。
職場、学校、ご近所づき合い、SNS、苦手な相手はウヨウヨいるもの。
どうすれば「苦手な相手」とうまく付き合えるのか?
今週は、アクとクセが強い人が多い芸能界、荒くれ者が集う芸人学校で生きてきた僕の「付き合いかたのコツ」をシェアしていきます。
苦手なヤツの話は「おもしろい/おもしろくない」で聞くな
駆け出し作家だった26年前、テレビ界にはテリー伊藤さんに憧れている暴れん坊ディレクターがたくさんいました。
ベタに灰皿を投げるわ、プロレス技をかけてくるわ、今では一発アウトの暴言もシャワーのように浴びました。
こっちも鼻っ柱が強かったので、数人は返り討ちにしましたが、いちいちバトルするのは骨が折れるだけ。
なので“自分の主観を変えてみる”ことにしたんです。
それは、苦手な相手がしてくる話を「おもしろいか?」「おもしろくないか?」で聞くのではなく、今後の自分にとって「使えるか?」「使えないか?」で聞くこと。
朝礼の校長先生の話が、やたら長くて退屈なのは「おもしろくない」から。あれと同じで、「苦手」というラベルを貼った相手の話や小言を「おもしろいorおもしろくない」で聞いてしまうと、ますます苦手や嫌いが深まっていく。
なので、自分の耳をチェンジして「使えるor使えない」で聞いてみる。
すると、だてに長く業界でメシを食っているだけあって、有用な言葉やヒントがチラホラあったりするのでおススメです。
苦手な相手は、精神的に「見下ろす」のが最適解
ホームパーティーで誰も手をつけなかった食材や、結婚適齢期をすぎた人を「残りもの」と呼ぶと“ネガティブな対象”になるけど、「最後の1つ」と呼んでみると、たちまち“ポップな対象”になる。
これと同じように物事の見方を変えて、苦手な相手も「面倒なヤツ」や「嫌いな人」と考えず、“精神的に見下ろして「何でもないヤツ」にしていく”と、日々は穏やかになります。
例えば、あなたの悪評を流し、あなたの評価を下げようとしている「苦手なヤツ」がいるとしましょう。
その人がやっている行為は下劣で、胸くそ悪い相手には違いありません。
しかし、見かたを変えれば“あなたのために必死に時間を費やしている「時間が足りない人」”とも言えるんです。
1日の時間は有限なのに、業務をこなし、上司に媚びを売り、趣味や睡眠に使う安息タイムをわざわざ削って、あなたを下げることにリソースを注いでいる。
そうやって精神的に上から見下ろせば、「かわいそうな人」、「これからも私のために時間を使ってね。頑張ってね」と思えてきたりするもの。
相手の狙いは、あなたを不安にさせて評価とパフォーマンスを下げることなので、術中にハマらず見下ろしましょう。
若手に苦手意識を持っている30・40代へ
僕の周りにも、増殖するハラスメントに縛られ、若手社員に対して苦手意識をもっているリーダーが多いです。
約1万人の10代・20代と向き合い、たまった知見をシェアすると「向こうは大したつながりを求めてない」ので「こっちもゆるくつながる」に尽きます。
幼稚園生や小学生が、「どうして鳥は飛ぶの?」とか「ビールって美味しいの?」とか、あれこれ質問してくるのは、大した答えや解決策を求めているのではなく、ただ雑談をすることで“親とのつながりを確かめている”だけ。
あれと同じで、若手の多くが上司に話しかけてくるのも“ただつながりを確かめてるだけ”なので、その内容をつかまえて、「レベルが低い」とか「もっとまともな話はないのか?」など、いちいち逮捕するのはお門違い。あなたのほうが「苦手な相手」にされるだけなんです。
もっとよくないのは、若手が“ただの関係確認”でしてきた家庭の悩みや恋愛話を、「オレが何とかしてやる!」と頑張っちゃう大人。
この衝動が出てくると「オジサン化」の入口なので、お互い気をつけていきたいものです。
ではまた来週お逢いしましょう。