香港映画の名作『男たちの挽歌』が音楽劇として復活。主演はTravis Japanの松倉海斗と川島如恵留(のえる)。男の仁義と正義を描くこの舞台に主演する二人に「男らしさ」について尋ねた。インタビュー後編。#前編
憧れの男
Travis Japanの松倉海斗と川島如恵留が音楽劇『A BETTER TOMORROW -男たちの挽歌-』でダブル主演する。
原作は1986年に公開された香港映画『男たちの挽歌』。香港ノワールの金字塔的作品といわれる同作は、裏社会に生きる男の仁義とそれを取り締まる警察の正義を描く。
登場人物はほとんどが男。まさに男だらけの、男くさい、男らしさを描く作品だ。
松倉も川島も90年代生まれ。映画が公開された時代は、まだ生まれてもいなかった。“男らしい”、“女らしい”という言葉もあまり使われなくなった現代という時代に生きる彼らに、あえて訊いた。あなたにとって“男らしい”とは?
「パッと浮かんだのはマッチョな肉体です(笑)。僕はよく細いねって言われるので、憧れがある。だから実は筋トレをしてるんです。せめて細マッチョにはなりたい」(松倉)
「柔軟な強さを持っている人。常に多角的な視点を持っていて、見方を変えればピンチがチャンスになったりする。それを理解していて、たとえ苦しいときでも笑顔でいられるような器の大きい人間に憧れますし、僕自身そうなりたいと思います」 (川島)
二人にはそれぞれ思い浮かべる「男らしい人」がいる。
「昔から男として憧れているのは菅田将暉さん。ファッションもお芝居も歌もすべてがカッコいい。お会いしたことはないんですけど、もし会えたらおかしなテンションになる自信があります(笑)」(松倉)
「祖父が憧れの男です。会社を経営していたんですが、いいときもそうでないときもあった。それでもいつでも優しくて、自分の責任に向き合って、諦めることも妥協することもなく、すべきことをし続けていた。その姿を近くで見ていて本当にカッコいいなと。こういうふうに生きたいなと思いました」(川島)
忘れられない言葉
川島には祖父に言われた忘れられない言葉があるという。
「大学2年のとき、芸能活動を辞めて自分の会社をつくろうと思ったことがあるんです。そのときに祖父に相談したら、急ぐなって言われたんです。どんな経験も無駄じゃないし、未来につながるんだからって。
そのころの僕は、何かを得るためには何かを失わなければならないと思っていた。でもそうじゃなくて、自分がちゃんと生きることで何も失わずに前に進めるんだと。そのときの言葉はいまでも僕のなかに残っています」(川島)
では、10年後、20年後、どんな男になっていたいのだろうか?
「信念がブレない人ですね。どんな環境にあっても自分の軸がしっかりしている。そういう人になりたいと思います」(松倉)
「さっきの話につながるんですけど、なにも失わない、取りこぼしのない男になりたいです。このお仕事を続けているなかで、たくさんの人に出会い応援やサポートをしていただいてきた。そういう方々の思いを受け止めつつ、さらに成長して、いろいろなチャンスを引き寄せられるような人になりたいと思っています。
なんでもしたいし、全部手に入れたい(笑)。だから人生100年じゃ足りないんですよ。できれば300年くらい生きて、いろいろなことを体験していきたいんです」(川島)
『A BETTER TOMORROW -男たちの挽歌-』は、彼らにとってどんな舞台になるのだろうか?
「スキルはもちろんだし、新しい価値観も手に入れられるような気がします。今回初めて主演として舞台に立つことになるので、これまでわからなかったようなことをたくさん発見できるような気もしています」(川島)
「初挑戦のことだらけで緊張はしていますが、不安はありません。この舞台でたくさんのことを吸収できるのを楽しみにしています。それが結果的にTravis Japanのライブや次のお仕事につながっていけば最高だし、そうなるようにがんばりたいと思います」(松倉)
この舞台は、男としても俳優としても、二人が飛躍する大きなきっかけになりそうな気がする。
<衣装クレジット>
松倉:ジャケット¥89,100<参考価格>、シャツ¥81,400、パンツ¥137,500 (すべてMSGM) 川島:ジャケット¥135,300<参考価格>、シャツ¥68,200、パンツ¥104,500(すべてMSGM/アオイ TEL:03-3239-0341)