香港映画の名作『男たちの挽歌』が音楽劇として復活。主演はTravis Japanの松倉海斗と川島如恵留(のえる)。初の主演となる二人にこの舞台にかける思いを聞いた。インタビュー前編。
1秒も目が離せないすごい映画
とにかく対照的な二人だ。Travis Japanの松倉海斗と川島如恵留。
撮影のときも、インタビューのときもニコニコと跳ね回るように動き、しゃべる松倉と、ゆったりと動き、微笑みを浮かべながら、ひとつひとつ考えて言葉を紡ぎ出す川島。
同じグループとはいえ、まったく性格の異なる二人がダブル主演として舞台に立つという。
二人が出演するのは音楽劇『A BETTER TOMORROW -男たちの挽歌-』。1986年に公開された映画『男たちの挽歌』が音楽劇として舞台化される。
「ノエルとW主演ということで、安心感しかなかったです。舞台の話をいただいて、初めて映画を観たんですけど、めちゃくちゃカッコよくて最高の映画だと思いました。自分がこの役を演じるんだと思うと、それだけでワクワクしました」(松倉)
「僕もオファーをいただいてから初めて観たんですけど、1秒も目が離せないすごい映画。1カットごとの作り込みとか、アクションとか、キャスト、スタッフ全員が作品を大切に思っていることがビシビシ伝わってきました。僕も松倉も舞台が大好きで、彼と一緒にこの舞台をできることが本当にうれしいし、誇りに思います」(川島)
これまでにない一面を見せたい
舞台は激動の時代の香港。松倉が演じるのは“正義の人”キット刑事。川島は裏社会に生きる“仁義の人”マークを演じる。
「自分で言うのは変ですけど(笑)、キットは天真爛漫で愛嬌がある。そこは僕自身と重なって演じやすいかな。あとは熱量がすごい熱血刑事の役なので魂を乗せて演じたいと思っています」(松倉)
「これまでアイドルとしてキラキラした部分だけを見せたいと思ってきました。でも今回は光だけでなく、影もある役。僕にもやっぱり見せてこなかった影みたいなものはあるので、この舞台でTravis Japanの川島如恵留とは違う一面も見せられたらいいなと思っています。
今までの僕を知っている方には意外に思えるかもしれない。一方で、舞台で僕を初めて観た方に川島如恵留ってマークみたいな人だよねと言ってもらえたら嬉しいですね」(川島)
泥くさい世界がむしろ魅力的
映画『男たちの挽歌』の見どころは、とにかく派手なアクションとむせ返るほどに男くさい世界。理不尽がまかり通り、暴力がはびこる。出演する男たちは常に咥えタバコで、紫煙をくゆらせている。
現代から見るとまさに「不適切」。だが、川島はそんな世界観に憧れのような気持ちを抱いたという。
「確かに今の時代の空気とはまるで違いますよね。でもクリーンで共感性の高い作品を観て育った僕らの世代にとって、この映画の泥くささとか、割り切れなさはむしろ魅力的。この時代のよさを僕らの世代だから感じられる、伝えられることがあるのかなって。友情とか仁義とか絆とか、そういうものを憧れだけでなく、観客の心に染み込むように届けられたらいいなと思っています」
対象的なふたりだが、共通した思いもある。
「今までしてきたことは嘘をつかない。Travis Japanとしてアメリカに行ったとき、挑戦の連続でした。つらい思いもたくさんあったけど、それをみんなで乗り越えて楽しんできた。だから今回の舞台もとにかく楽しもうと。緊張はあるけど、不安はありません」(川島)
「アメリカで誰も自分たちを知らない完全アウェイな状況でも突き進んできた。でもそれを乗りこえて成長してきた。この舞台でもなにかを吸収して成長できたらと思っています」(松倉)
タフな世界で必死に戦ってきた。そんな彼らだからこそ、時代を超える“男の世界”を、この舞台で観られるような気がする。
<衣装クレジット>
松倉:ジャケット¥89,100<参考価格>、シャツ¥81,400、パンツ¥137,500 (すべてMSGM) 川島:ジャケット¥135,300<参考価格>、シャツ¥68,200、パンツ¥104,500(すべてMSGM/アオイ TEL:03-3239-0341)