ブームの再燃以来、人気も価値も下がる気配を一向にみせないヴィンテージ。今回はベストジーニスト賞殿堂入りを果たしているKis-My-Ft2のメンバー藤ヶ谷太輔の私物デニムをご紹介し、達人たちを魅了する理由を、改めて確認してみたい。
パーソナルな物語がデニムの魅力をより高める
2014年のベストジーニスト初受賞を皮切りに、3年連続受賞で殿堂入りを果たした藤ヶ谷太輔。自他ともに認めるデニム好きだが、近年はヴィンテージデニムの造詣の深さに加え、独自のスタイル哲学が若い世代の耳目を集める。
「ヴィンテージアイテムに資産価値を見いだす人もいますが、僕にはその考えはまったくありません。世界にひとつとして同じ表情がない逸品を、クールに着たいだけ。ことヴィンテージデニムに関しては『丁寧に雑に着る/穿く』のが僕のモットーです。身につけることで仕事のモチベーションがアガる唯一無二のアイテムですから」
デニムに興味を持ったのは、小6の時に父親からジーンズを譲り受けたことがきっかけとか。作業着として長年穿きこんだジーンズは、動きのクセや体型がヒゲやダメージとなって反映されており、そのリアルな味わいにとてつもなく惹かれたという。

デニムジャケット¥598,000(フェイクα TEL:03-3404-0168)、デニムパンツ¥250,800、スニーカー¥217,800(ともにベルベルジン TEL:03-3401-4666)、その他本人私物
「そこからさまざまなデニムに触れましたが、本格的にヴィンテージデニムにのめりこむことになるのは20歳をすぎてから。事務所の先輩でカッコよく着こなす方も多く、僕もいつかはと憧れていたんです。ただヴィンテージデニムに関しては、お店に行ってお金を払えば好みの1着が手に入るものではありません。人との出会いや信用を重ね、それを手に入れるのにふさわしい人間になって初めて迎えられるもの。今手元にあるものは、自分の成長とともに入手できたアイテムがほとんどです」
アイドルグループのメンバーとしてスポットライトを浴びながら、俳優やMCなど他分野へ活躍の幅を広げている昨今。年齢を重ねても軸がブレることなく、自分らしいスタイルを変えたくないという自身の信念も、ヴィンテージアイテムの歴史や佇まいに大いに重なるという。
「人と人をつないだり、縁や出会いに直結するのがヴィンテージの大きな魅力。父が僕にしてくれたように、いつかは自分もお気に入りのデニムを子供に譲れたらと思っています」
藤ヶ谷太輔所有、至高のコレクションの一部を公開!

今回の撮影の数日前に手に入れたリーバイスS506XX(大戦モデル・通常ボタン)。背中のシンチバックとレザーパッチのないモデルだが「シンチの金具がクルマのシートを傷つけたり、革パッチがTシャツを汚したりするので逆に好都合です」と藤ヶ谷。

レギュラー番組で借りて着たものの、気に入りすぎて友人と店に足を運び購入したファーストは、直後にその友人が5年前に手放したものだと判明。「巡り巡って自分の手元に来た奇跡的なモデルです」

ドラマ『独身貴族』で共演した草彅剛さんから「藤ヶ谷君に似合うから」と自分が重ね穿きしていた1本をそのままいただいたS501XX。のちに草彅さんが「あの大戦モデル、やっぱり返してほしい」と語っていたと人づてに聞くも「思い出が刻まれているので返せない」1本に。

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Taisuke Fujigaya
1987年神奈川県生まれ。2011年に男性アイドルグループKis-My-Ft2のメンバーとしてデビュー。以後、TV番組、広告などに多数出演するほか、俳優としてドラマ、映画、舞台で活躍。無類のファッション好きを公言しており、情報収集も欠かさない。2022年9月には主演舞台『野鴨-Vildanden-』にて、4年ぶりのストリートプレイを披露する。