“今一番見たい俳優”といわれる国際派は、唯一無二のオーラを纏い注目ブランドの最新作に身を包む。さらなる高みを目指して挑戦を続けるその視線の先にあるのは果たして――。【特集 刺激のある服】
挑戦し続ける人生をともに歩む
「ファッションは勇気です」
十代からエンタテインメントの世界に身を置き、俳優・アーティストとして活躍。近年は海外製作の映画やドラマへの出演も果たし、グローバルな表現者としての顔も持つ山下智久。
ラグジュアリーブランドの“刺激的な”最新ルックを物怖じせずに着こなしてみせるその姿は、冒頭に語ったファッション観とともに、国内外でさまざまな挑戦を続ける姿勢と大いに重なる。
自分を通して世界が広がる刺激的な存在であり続けたい
クールな面持ちとしなやかに鍛え上げたフィジカルで、シリアスからコメディまで幅広くこなす実力派。そんな彼が5年ぶりに民放で主演を務める最新作が、フジテレビ系で2024年4月24日(水)にスタートする水10ドラマ『ブルーモーメント』だ。物語は、気象災害の最前線で人命救助を担う内閣府直属のチーム・SDM(=特別災害対策本部)の奮闘を描くヒューマンドラマ。山下は気象研究官であり、チームを率いるリーダーを演じる。
「近年多発する気象災害がテーマで、僕は気象学を駆使し、人命救助に挑む役を演じます。天気のことは身近なようでいて意外と知らないことも多く、いざ災害となると人命に関わることさえある。平時は忘れがちな非常時の備えや心構えを、思い出していただけるきっかけとなる作品になればと思っています」
本作では登場人物の個々の対応力もさることながら、災害救助に不可欠なチームビルドの過程も見どころのひとつ。人命救助という失敗できないミッションに立ち向かうチームワークの機微が、物語に奥行きを添える。
「これは僕自身の課題でもありますが、撮影現場ではスタッフ含め、キャストたちとも積極的にコミュニケーションを取り、いいチームにしていきたいですね。現場に関わる全員の気持ちを柔らかくすれば、締まるべきところで、バシッと締まってくれると思いますから」
幼少時、ロサンゼルスにしばらく滞在し日本とはまったく異なるカルチャーに触れたことがきっかけで、早くから海外での活躍も視野に入れ実現してきた。音楽活動や俳優の仕事で海外へ出向き、多様性に富む数々の現場経験を経た自分の存在が、これから若い世代にとってのいい刺激となり、世界が広がるきっかけになってくれたら嬉しいとも語る。
「そういう意味で僕自身は、世界中にいる友人たちから常にいい刺激をもらっていますよね。異なる環境にいる彼らと一緒に話をしたり行動することで気づきも得るし、成長しているように感じます。そんな彼らに自分が刺激を与える存在になるためにも、さらに広い世界を見て経験を積み、学びを深める必要があると感じています」
日々のさまざまな刺激で感覚が研ぎ澄まされる
自身のリアルスタイルは「すごくシンプル。こだわりがあるとすれば肌触りがいいことぐらい」らしいが、日常生活では常に刺激を欲するタイプだそう。日課のルーティンが、かなりストイックというから面白い。
「リラックスして思考を整理するため、毎朝の水風呂はマスト。ジムには短時間でも毎日行って部位別にトレーニングをし、終わったら少しだけコーヒーを飲む。僕の場合は身体への物理的な刺激が、心身のバランスを保っているのかもしれません」
不惑も視野に入り、研ぎ澄まされた感性と肉体は、さらに頂を目指していくことだろう。山下智久の頭上には、晴れた青空が洋々と広がっている。
山下智久が着こなす、刺激的な4スタイル
1着でスペシャルな存在感を放つのは、胸元にリアルな造形のコサージュとユーティリティポケットをふんだんにあしらった、オーバーサイズのコットンシャツ。アイテムにアーティスティックな奥行きを添えたエクスクルーシブなデザインが、着る人のパーソナリティを際立たせ、スタイリッシュな佇まいをよりいっそう引き立てる。
オーセンティックかつ抑制されたスタイリングが、着る人の内面を浮かび上がらせることは往々にあるものだ。綾織の上質ウールで仕上げたリラクシーなシャツジャケットは、軽量のシルクの肌触りが格別なオープンカラーシャツを襟元から出すことで、ユニフォームライクなムードに。静謐さのなかに垣間見える、匂い立つような色気に目を奪われる。
極薄のシアーな素材「カルク・クリスペ」で仕立てたダブルブレストのジャケットは、中に着たシャツやタンクトップまでも透ける素材で重ねた軽やかなスタイリング。うっすらと肌が透けて見える涼やかさもさることながら、薄く繊細な衣を纏っているかのような軽い着心地も快適至極。もちろん、締まった肉体に映える仕様であるのはいうまでもない。
大柄の千鳥格子をメタリックな糸とテクニカルなジャカードで編み上げたカーディガンは、アイコニックな「カナージュ」モチーフをあしらったニットと重ねてアンサンブル風に。さらに同モチーフのツイードパンツを合わせれば、セットアップ風にも見える。ブランドの伝統的なエッセンスとパワフルな底力がミックスされた高感度なブレンディングを存分に堪能したい。
『ブルーモーメント』
5年ぶりの民放ドラマ主演となる本作は、『COMIC BRIDGE』(KADOKAWA)で連載中の『BLUEMOMENT』が原作。甚大な気象災害から人命を救うべく命がけで立ち向かう内閣府直属のSDM(特別災害対策本部)メンバーの奮闘を描く物語で、山下は、SDMのチーフであり気象研究官を演じる主人公・晴原柑九朗を演じる。共演は出口夏希、水上恒司、夏帆ほか。
Tomohisa Yamashita
1985年千葉県生まれ。2003年にCDデビュー。数々のヒット曲をリリースする傍ら、俳優としても多くの話題作に出演。2011年にソロとして始動後は活動の場を国外にも広げ、米映画「マン・フロム・トロント」、WOWOWドラマ「TOKYO VICE」ほかに出演。ブルガリでは日本人男性初のアンバサダー、ディオールではビューティ・アンバサダーも務める。
この記事はGOETHE 2024年5月号「特集:刺激のある服」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら