歯に衣着せぬ物言いや、時折見せる気の利いたコメントなど、ありのままの姿がお茶の間にも人気の“みちょぱ”こと池田美優。数あるギャル系タレントのなかでもキラリと光るその存在感や、多くの芸人たちに支持されるその実力の源泉など、みちょぱの仕事に対する姿勢などに迫る。 #インタビュー前編:ゴルフ編
本業はやっぱりモデル。個性にこだわらず柔軟になった現在地
我々は“みちょぱ”をテレビで見ない日はないのではないか。そう思うほどにみちょぱは、多彩な活躍を続けている。
的確なコメントやキレのある返し、ときに自分より年上の芸人へも躊躇なくツッコミを入れ、なんなら裏回し的なフリまで行う。与えられた役割以上のことをこなすセンスが顕著だ。
お茶の間へは、そうしたマルチなタレントとしての印象を強く残すが、本人に、どの職業に最もプロ意識を感じるかと問うと「モデル」だという。
中学3年生から雑誌『Popteen』でモデルとして活動し、そこで示した存在感から現在の姿があるとするなら、当然とも言えるだろう。
「やっぱり『Popteen』という雑誌がかなり特殊でしたから。とにかく個性が大事。個性をどんどん磨いていかないとファンもついてきてくれないし、埋もれていってしまいます。無理していたつもりはないけれど、個性に関しては譲れませんでした」
早くから「個性」と向き合い、自分の価値観を追求してきたからこそ、確固たる「自分像」ができ上がっているのかもしれない。
「初めてのヘアメイクさんに担当してもらったときに、自分で後から直すくらいこだわりが強くて。“このやり方じゃないと盛れないっしょ!”って自分流を貫きました。
ギャルサー(ギャルサークル)から始まって、雑誌にも出るようになって、そのなかで勝ち残ってこれたのも、自分が好きなものをとにかく追求できたことが大きかった。5年くらいやっても、飽き性な自分がまったく飽きませんでしたから」
現在、モデルとして女性誌をはじめ美容誌などに幅広く登場するなかで、『Popteen』時代とは大きく心持ちも変化しているという。
「今は、自分の個性はテレビで出せているので、ギャル時代のように個性を出さなくてもいいなと感じています。
出演する雑誌の色をいかに出せるか、ということを考えるようになりました。カワイイ系もあれば、キレイ系、モード系もありますから。
むしろ今は、“ナチュラル系メイクでもこんなに盛れるんだ!?”とか言いながら、ヘアメイクさんたちに現場で教わることも多いですね。これまで頑なだった自分の世界が、いろいろな雑誌に出させてもらうことで変わってきているようにも思います」
師匠は有吉さん。でも、何かを教わってるわけじゃないです(笑)
「個性はテレビで出す」との言葉どおり、自由闊達な発言や振る舞いで、見てる人を魅了するみちょぱ。カメラ前で「自然体」でいられるのは、誰しもが一朝一夕にできることではないはずだ。そうした秘訣のようなものはあるのだろうか。
「怖いことがないからですかね。自然体な自分を受け入れてもらえなかったとしても、仕方ないかな。タレントとして失うものがないというか。でも、私を好きだと言ってくれる人は好きだよ、というスタンスなので」
モデルとしての確かな軸足を持ち、タレントとしては失うものがないことから前に出ていける。そんな強さがあるのだろう。
「絶対にゆずれないという頑固な面もありますけど、いろいろ吸収していくタイプなんで(笑)」とあっけらかんと話すみちょぱ。意外にもエゴサなどもしているという。
「私、性格悪いんで結構、上から見ています(笑)。何を言われてもね、アンチみたいなコメントにも“ははは、お前何言ってんの?”みたいな感じです」
ある意味、自由演技でこの地位に辿り着きながらも、好き勝手というわけでもない。実際、お笑いタレントの有吉弘行さんを“師匠”と仰いでいる点も興味深い。
「勝手に師匠と言わせていただいてますけど、具体的に何かを教わっているというわけではないんですよ。そういうことは絶対にしない人なので。一緒の現場で、場数を踏むなかで吸収していった感じです」
「努力や練習は嫌い」といいながらも、さりげなく、テレビ的な振る舞いをこなしてしまえるのは、持ち前のセンスの良さなのかもしれない。
これまでの自分を客観的に見つめるきっかけとなったのは、バラエティ番組『アメトーーク!』の企画「実はみちょぱスゴイぞ芸人」だったそうだ。
「『アメトーーク!』では、共演していた皆さんたちに、自分が“良かれ”と思ってやってきたそれまでの振る舞いに評価をいただいたので、意外と正解だったんだ、というふうに自信にもなりました。実際は、楽しんでいるだけというところもあるんですけど、自分なりに考えてやっていることもありますからね」
「褒められて伸びるタイプなんです」と、自然体で貫く姿勢は、見ているほうも元気付けられるところがあり、それもみちょぱの大きな魅力に違いない。
意外にもおじさんキラー!? みちょぱが愛される理由
有吉弘行や、平成ノブシコブシ・吉村崇、先に挙げた『アメトーーク!』に出演した“実はみちょぱスゴイぞ芸人”たちなど、ギャルだがおじさんウケがいい、みちょぱ。その理由はどこにあるか、本人に直撃してみた。
「自分ではよくわからないですけど、上下関係の厳しい“ギャルサー”にいたからですかね?」と、答えるのが難しい質問にも正面から向き合ってくれた。
「ギャルサーってマジで上下関係ヤバいんで(笑)。その経験もありますし、仲良い芸人さんほど『お前〜』とか言っていじったりとかはしますけど、人生の先輩だと思っているので。そこは完全にリスペクトの対象です。Z世代ではあるんですけど、昭和のノリもわかる。その考えも持っている人なので」
みちょぱ特有の反射神経のようなものが反映されているように感じられる。そんなみちょぱでも悩んで落ち込んだりするのだろうか。
「病んだこととか、ないですね。今は自由なことをさせていただいているし、基本ポジティブな人間なので。だいたい何でもポジティブに変換できちゃう。悩みとかはむしろ相談されるタイプです。
多少きれいごとのようなことも言っちゃうんですけどね。これまで私自身が本当にラッキーな星のもとでここまでこれたと感じてるから。本質のところで寄り添えない部分もあるかもしれません。だから、自分のアドバイスはもしかしたら悩んでいる人のためにはなってないかもしれませんけどね(笑)」
ポジティブさ。これもみちょぱの大きな武器。そういうマインドセットでいられるのは、「ある程度、人のせいにする」と話す。
「大事だと思いますよ。悪いところを認めることも大事ですけど、自分を追い詰めすぎても辛いので。どこかで人のせいにする。そこも私は得な性分だなって思います」
いわゆる「セルフラブ」「セルフケア」なマインドもZ世代のみちょぱを支える大きな要素と言えるかもしれない。
これまでを「すべてのことがタイミングがよかったんだなって思います」と振り返るみちょぱさん。今後のことに水を向けるとこう答えてくれた。
「現状維持したいです(笑)
それがいちばん難しいって先輩たちには言われますけどね。毎年私も難しいとは思っているんですけど。とにかく今がいちばん楽しいので。このままいけたら、って思うんです。
もともとそんなに欲がないですし。程よくお休みがいただけて、好きな現場で仕事ができて、これがまさに理想的」
今後、トライしてみたいことを聞いてみた。なんでも「演技はNG」にしているんだとか?
「食わず嫌いではないんですよ。演技も一応やってみて、これは頑張れないって思ったんです。得意な人がいらっしゃるので、私じゃなくていいかなと。嫌いというより向いていないんじゃないか、って思ってます。でも、飽き性というか、気が変わりやすくもあるので、またやりたい、って思う時がくるのかもしれません」
今回は、男性誌である『ゲーテ』への初出演(詳細は『ゲーテ5月号』をご覧ください)。それもチャレンジだったという。
「知らない世界はまだまだあるなという新しい発見もありますし、新鮮な感覚もあります。現場でいろいろ吸収してきたので、こういうことも学びになりますね。
毎年、そのつもりがなかっとしても、何かしら新しいことにチャレンジさせていただけるので、なんだかんだ、今年も、楽しく新しいことに挑戦できるかなって、ゆるく頑張ろうと思います」
肩ひじ張ることなく、自分のできる範囲内で、それでも、芸人たちに支持されるほどには結果を出すという、みちょぱ。いろいろなことにゆるく挑戦しながらも、長く我々を楽しませてくれることは間違いなさそうだ。