デビューから20余年、映画にドラマ、CMなど、多方面で活躍を続ける上戸彩。私生活では、2012年に結婚し、2015年に長女、2019年に長男、そして2023年6月に次男を出産。育児に奮闘中の3人の子供の母親としての素顔に迫る。
仕事にプライベートは持ち込みたくない
自分がどうしたいかよりも、周りがどうしてほしいかを素早く読み取り、その期待に120%応える。そんな風にして、着実にキャリアと年齢を重ねてきた上戸彩。
「25歳くらいの頃、事務所から『彩が好きなようにしていいよ』と言ってもらえるようになりました。理解がある人たちに恵まれているのはもちろんですが、それまで10年以上、与えられた仕事を自分なりに精一杯頑張ってきたからかなとも思います。何の実績もないのに自分の要求を突きつけても、受け入れてはもらえませんから」
出産後、プライオリティの筆頭は子供になり、仕事はスケジュールに無理がない範囲で受けるようになった。子供たちがまだ幼く、夫婦だけでなく、両親や親類などの手も借りながらの子育てのため、仕事を受けるかどうかは家族に必ず相談する。
実は、Prime Videoで独占配信中の完全版ドラマ『沈黙の艦隊 シーズン1 ~東京湾大海戦~』への出演を決めたのは、家族に背中を押されたのも理由のひとつだったという。
「私は原作の漫画を知らなかったのですが、旦那さんが昔から作品の大ファンで、『すばらしい作品だよ、絶対にやったほうがいいよ』と勧めてくれました。本当にその通りで、出演させていただけて、すごく良かったと思っています」
この作品の撮影中には妊娠していたが、衣装を用意するスタイリスト以外には伏せていた。
「私が一番イヤなのは、仕事にプライベートを持ち込むこと。周りに気を遣っていただきながらの撮影は、私自身、居心地が悪く感じてしまいます」
育児に追われる今、仕事がいい気分転換に
上戸は『沈黙の艦隊 シーズン1 ~東京湾大海戦~』の撮影を終えた後、妊娠を公表。2023年6月に男児を出産し、現在は3人のママとして、育児中心の生活を送る。
「昨日できなかったことが今日はできるようになったり、子供はあっという間に大きくなってしまいますよね。その成長を、なるべく見逃したくないんです」
もっとも3人とも、まだ手がかかる年齢だ。セーブしているとはいえ、仕事と家庭の両立は容易ではないはずだ。
「今は常に寝不足状態なので、気持ちがピリピリして、いっぱいいっぱいになってしまうことも正直あります。だから、時々お仕事で家を離れることが、いい気分転換にもなっています。
自分の用事で家を空けたり、子供を預けたりするのは、申し訳ない気持ちになってしまうのですが、仕事なら堂々と出かけられますから。『お仕事、ありがとう!』という感じです(笑)」
子供たちはママの仕事も理解しているようだ。いずれも出産後すぐに仕事に復帰したため、「『ママは仕事をしている』という“免疫”がついている」と、笑う。
「セリフを覚えるのは、移動中のクルマなどひとりの時間を利用していますが、時々家で確認のためにセリフを口にしていると、長女は興味津々で聞いています。テレビで私がそのセリフを言っているのを目にすると、『この前練習していたね』って気がついてくれたりします。
長男は、私が出かける時に寂しがりはするんですけど、でも4歳になって、少しわかるようになったのか、ちゃんと『いってらっしゃい』と送り出してくれます。旦那さんが時々、『ママはすごいお仕事をしているんだよ』と言ってくれるのも、効果があるのかな(笑)」
子育てスタイルは“体育会系”
会話の端々に子供たちへの愛情がたっぷりと感じられるが、子育てスタイルは意外にも“体育会系”。挨拶をはじめ礼儀には厳しく、周りに人がいようと、怒る時はしっかり怒る。習いごとも「休むという選択肢はありません」。
「お友達と遊ぶ予定があっても、我が家は『習いごとが終わってからね』ですね。スーパーに買い物に行っても、好きなモノをどんどんカゴに入れる……はナシ。
最近長女はお小遣い制にしたのですが、それも、『お風呂を掃除したらいくら』とか『お皿を洗ったらいくら』と、お手伝いに応じてです。まとまった金額になったら、封筒に入れて渡しています。
そうすると、お小遣いの範囲内で何を買おうか自分で考えるようになるんです。お小遣いで何を買うか悩んで、スーパーを2周していました(笑)」
10代から20代半ばにかけて仕事に邁進し、家庭を持った今、「仕事に対して少し余裕をもって臨めるようになった」と上戸は話す。
「同世代の働いている友達は、今が一番、仕事が忙しくて、充実している時期なんだと感じます。その反面、悩むことや大変なこともたくさんあると思います。私はちょっと先にそれを経験した分、彼女たちを何かしらの形でサポートしたいと思っています」
周囲の人が楽しく、幸せであるように、自分が動く。それは、仕事に限らず、上戸彩の生き方そのものなのだ。