日本でも人気を博した女子プロゴルファー、キム・ハヌル。2021年、惜しまれつつも現役を引退した彼女の今を知りたく、韓国に渡った。
美女ゴルファー・キム・ハヌルの現在地
かつて日本ツアーで長年活躍し、 “スマイル・クイーン”の愛称で親しまれた美女ゴルファーを覚えているだろうか。
彼女の名はキム・ハヌル。高校3年次の2006年に韓国ツアーでプロデビューし、自国では通算8勝、2年連続賞金女王という優れた成績を残した。その実力に加え、モデルさながらの美貌で多くの人気を博したことで、韓国女子ツアーでは初めて私設ファンクラブが発足された選手でもあった。
そんな人気と実績を引っ提げ、2015年から日本ツアーに本格参戦。同年9月の「マンシングウェアレディース東海クラシック」で来日初勝利を飾ると、日本ではメジャー2勝を含む通算6勝を記録。そして2021年10月、現役引退を発表し、日韓合計15年間のプロ生活に幕を閉じた。
韓国ソウルで独占インタビューを敢行
ゴルフファンに惜しまれつつもフィールドを去ったキム・ハヌルは今、何をしているのだろうか。2023年6月中旬、韓国ソウルで独占インタビューに応じたキム・ハヌルは、現役時代と変わらぬ笑顔で自身の近況について語り始めた。
「ここ最近で多いのはテレビ関係の仕事ですね。ゴルフ番組でレッスンをすることもあれば、番組の企画で海外旅行に出て現地でゴルフをしたこともあります。ほかにも、YouTubeチャンネルやファッション誌撮影、広告出演などもやっていますよ」
2022年1月にモデルや俳優のマネジメントを手掛ける芸能事務所KPLUSと専属契約を結び、ゴルフ関係にとどまらず多彩な芸能活動を繰り広げているキム・ハヌル。最近ではファンやメディアから“多芸多才なスポテイナー(スポーツ+エンターテイナーを組み合わせた韓国の造語)”とも呼ばれるようになった彼女だが、現役時代とは違った多忙な日々に充実感を感じているという。
「引退してから本当に色んな活動をさせていただいていますが、今はやることすべてが楽しいです。何より、選手の頃と違って毎日規則正しい生活を過ごさなくてもいいというのが本当に心が落ち着きます(笑)。現役当時は練習、大会出場、移動と同じ生活を繰り返す日々でしたが、今は一日一日、多様なスケジュールをこなしているので、そこが現役時代と大きく違う部分だと思います」
“ボディプロフィール”への挑戦
そんなキム・ハヌルが最近、韓国国内でも大きく話題を集めたのが“ボディプロフィール”へのチャレンジだ。
“ボディプロフィール”とは、一定期間の徹底したトレーニングと食事制限を通じて鍛え上げ自らの肉体美を写真に収めるというもの。最初はパーソナルトレーナーやボディビルダーなどが始めたものが広く知られるようになり、今や若者の間で流行のチャレンジとなっている。それに今回、キム・ハヌルも挑戦したというわけだ。
「ボディプロフィールのために、今年1月から4月にかけてトレーニングと食事制限に取り組みましたが、その期間は本当に大変でした。トレーニングの量は現役時代よりはるかに多かったですし、普段は美味しいものを食べることが好きなのに、それを我慢しなければならないというのが本当に辛くて…何度途中でやめようと思ったかわかりません」
それでも、約3ヵ月間にわたる過酷な鍛錬を耐え抜いたキム・ハヌルが披露したスタイルは圧巻だった。より一層引き締まったウエストの綺麗なくびれ、見事なシックスパックになった割れた腹筋に、ゴルフ界では多くの反響が巻き起こった。
「日々体が変化し、体重が減っていく様子を自ら確認することが小さな幸せでした。そのおかげで、辛い日々も乗り越えることができました」というキム・ハヌル。ボディプロフィールに取り組んだ期間について、改めてこう振り返る。
「ゴルフはある意味、私がやらなければならない“仕事”でしたが、ボディプロフィールは私自身の意思でやってみたいと決意し、自ら挑戦したものです。ただ、確かに楽しかったチャレンジではありましたが、またやりたいとは今のところ思わないですね(笑)。当分は美味しいものをたくさん食べることを楽しみたいと思っています」
ゴルフ界への恩返し
プロ生活を終え、現在は芸能活動を中心に活躍の場を広げ続けているキム・ハヌルだが、今も胸に秘めているのは自らの原点であるゴルフ界への思いだ。
実際、ゴルフ関係では前出のテレビ番組出演に限らず、経済メディア『アジア経済』では2022年10月からコラムニストを務めている。これまで彼女が執筆したコラムを見てみると、「ドライバーの飛距離を伸ばす方法」「パー3ホールの攻略法」といった技術的なものもあれば、自らの経験を基にプロゴルファーの大会前のルーティンについて説明したり、初心者向けにマナーやルールの解説をしたりするなど、その内容は多岐にわたる。
また、2023年6月にソウル市内で開催された健康イベントに参加した際には、将来有望な幼いゴルファーたちのために、バイクマシンやゴルフクラブなど500万ウォン(約50万円)相当の物品寄付も行った。このように、日々の芸能活動と並行して韓国ゴルフ界発展のための精力的な活動も欠かさない。
「韓国国内でゴルフをもっといろんな人に楽しんでもらえるよう、メジャーなスポーツになってほしいという思いで活動に取り組んでいます。引退してからは主に芸能活動が多いですが、私はゴルフ人。ゴルフから離れたいと思ったことも、離れるつもりも一度もありません」
引退後、着実に自身のセカンドキャリアを築き上げているキム・ハヌル。そんな彼女がファンへの恩返しの一環として、自身初の試みとなるファンミーティングを韓国で開催した。次回はその模様とともに、今も胸に秘める日本ツアーへの思いについて迫る。
※次回は7月16日10時公開。