放送作家、NSC(吉本総合芸能学院)10年連続人気1位の桝本壮志のコラム。
「なぜ評価されないのか?」と思った時の思考メソッド
なぜ自分は評価されないのか?
そう思っている人、または思ったことがある人は多いですよね。
▼あの人より出来ているはずなのに評価されない
▼評価されている同期を嫉妬してしまう
▼ずっと評価されないので自己肯定感が下がっている
これは芸能界でも“あるある”ですし、かつての僕もそうでした。
そこで今週は、「なぜ評価されないのか?」という感情が沸き起こったときの思考メソッド、さらに「評価されない自分との付き合いかた」を伝えていきたいと思います。
誰かに「くやしい」と感じたら、あなたも能力者
毎年、芸人学校でかならず起こる現象があります。
それは、生徒がやるネタを見て、大半はシーンと静まりかえり、一部の生徒だけがウケているという光景です。
なぜ、こうした現象が起こるのか? それは、お笑い界は常に“新しい笑い”が生まれてくるので、新しい発想&試みを「おもしろい」と気づくまでに個人差があるからです。
ちなみに若き日のダウンタウンさんも、漫才中に「よく浜田と2人だけで笑ろてた」とおっしゃっていました。
この話は、ビジネスパーソンにも通じます。
ライバルが出した好企画やアイデア、巧みなプレゼンなどを、あなたが「おもしろい」と感じたら、“あなたにも同じセンスがある”と言えるのです。
相手がライバルの場合、「おもしろい」の次にやってくる感情は「くやしい」の場合が多いですが、“自分にも同じセンスや能力があるからくやしいのだ”と思いましょう。
それで大丈夫。同じ能力者だから気づけたんです。
誰もが「評価されるまで」3つのステップを踏む
多くの教え子が売れっ子になり、嵐やAKB48の初冠番組を立ちあげ、幸運にも「国民的アイドルグループ」になっていく姿を見てきた僕には一つの持論があります。
それは、“どんな一流でも、評価されるまでに3つのステップを踏んできた”というものです。
その3つとは
①スルー(無視)され、相手にされない段階
②叩かれ、攻撃される段階
③受け入れられ、評価される段階
どんな大物芸能人でも、世間や観客に見向きもされなかった時期があります。例えるなら、SNSに投稿しても最初はまったく反応されないのと同じです。
キャリアがついてくると、芸能人ならファンや業界人、会社員なら上司や取引先とのインプレッション(接触や対面回数)は増えていきますが、叩かれたり、攻撃されたりする段階に入ります。認知度があがるとアンチも増えるSNSと同じですね。
その段階をしのぐと、受け入れられ、評価されはじめます。口の悪さを非難する人も多かった有吉弘行さんや、ひろゆきさんが今では絶大な支持を受けていることも、その一例です。
「評価されない」と焦っている若手のみなさんは、この社会の摂理を頭に入れておくことも大切だと思っています。
一番良くないのは目標より「らしさ」を見失うこと
最後に、前述した①と②、2つの段階をしのぐコツを伝えますね。
無視されたり、叩かれたり、あなたが周囲から“正当に評価されない時期”は、小中学生の“いじめのメカニズム”に置き換えてみると分かりやすいです。
いじめは、些細なキッカケで、良いにしろ悪いにしろ“個性のある生徒=普通じゃない子”を真っ当に評価せず、疎外します。
標的になった子は、メンタルが弱り、評価されようと不自然な言動になり、ますます普通じゃない子になってしまい、仲間外れの輪は広がっていく。
そう、「評価されない」ことへの焦りや執着が強い人ほどフォームを崩しやすく、せっかく持っていた個性を手放しやすいのです。
大切なのは、評価によって“自分らしさ”を見失わないこと。誰ともかぶっていない“あなたの手持ちカード”で挑んでいくことなんですね。
それではまた来週。まだまだ評価されていない、僕とあなたで、このコラムで待ち合わせしましょう。