放送作家、NSC(吉本総合芸能学院)10年連続人気1位の桝本壮志のコラム。
チャンスにまつわる思考法
チャンスをものにしていますか?
そもそも「チャンス」って何なんでしょうか?
芸人学校でも「チャンスのつかみかたは?」「どうすればチャンスが来る?」という質問をよくされます。
もちろん僕は、「自分でつかみとれ!」なんて根性論は語りません。それでも、無名だった若者がどんどん売れっ子芸人になってくれました。
今週は、僕が芸人さんに伝えてきた「チャンス」にまつわる思考法です。
チャンスの入口は、自分が「キライ」と思ったとき
会議でうまく喋れない。仕事の効率が悪い。だんだん太ってきた。私たちの日々は「自分なんてキライ」のループ世界です。
しかし、「英語を学んだキッカケは旅行先でひと言も話せない自分が悔しかったから」といった海外でバリバリ働いている人のエピソードや、「強くなろうとしたキッカケはいじめられていた自分を変えたかったから」といった有名格闘家のエピソードを耳にしたことはありませんか?
そう、“自分がキライと思ったときはチャンスの入口に立っている”とも言えるのです。
チャンスとは、あなたにナイショで家族や友人が開いてくれる誕生日パーティーのような“サプライズなイベント”ではありません。
ダジャレのようですが、何気ない日常の“ノイズ”の中に“アイズ(合図)”がある。その好機は、自分がキライになったとき。“自分の現状がしっくりこないときこそ、新たな自分を見つけるチャンス”なのです。
「チャンス」は「卵をもらう」ようなもの
ふとした日常にやってくるチャンスの合図。僕はそれを「卵をもらうようなものやで」と生徒たちに伝えています。
チャンスは、IKEAの家具のように、手元に届く→組み立てればOK。とはいきません。
多くのチャンスは「フルセット」ではなく「材料」が送られて来るからです。
例えば、その材料が卵だとします。
「なんだ、卵かよ」と、受け取らない人や、その場で割ってしまう人もいるかもしれません。ですが、「おや? これは使えるぞ」と感じる人は、それを自分なりに加工しはじめるのです。
そして「卵」は“ひと手間”でいろんなモノになります。オムライスを作る人、親子丼を作る人、カルボナーラ、茶碗蒸し、カステラを作る人もいるでしょう。
なかには、逸品をこしらえ、好きな人の胃袋をつかんだり、オムライス専門店を開いて繁盛させたりする人も出てくるかもしれません。
勘のいい皆さんなら、もう分かってきましたよね?
そう、“チャンスをつかむ人”とは「加工してみよう」という“創意が起動する人”のこと。“チャンスをものにする人”とは、贈与されたモノを使って、自分の日常や現状を“より「おいしく」できる人”のことでもある。
大切なのは、来るべき「贈与」にそなえて、オムライスや茶碗蒸しを作れる“レパートリー=知識を増やしておく”ことなんですね。
あなたは「チャンスの扉」の前に立っていますか?
一流と呼ばれる芸能人や社長さんに「チャンスのつかみかた」について聞くと、「たまたまそこにいただけ」と答える人が多いのですが、僕はこれを「謙遜」ではなく「事実」だと思っています。
例えば、4人で旅行計画を立てホテルの予約も完了したあと、1人が病気で行けなくなったら、近くにいる人に声をかけますよね?
それと同じで、あるプロジェクトが10人で動いているとき、誰か1人が参加できなくなったら「誰かいないかな?」と、身近で声をかけやすい人を探すのがビジネスあるある。
会議室のドアを開け、たまたまそこに立っていた若手に「興味ある? やってみる?」となるケースはザラにあります。
これと「チャンスの扉」は同じ。いろんな場所に興味をもって出かけ、いろんな扉の前に立つことができる人こそ、チャンスの扉は開きやすい。
タイパ時代であっても、ムダ足、ムダ骨などと言わず、好奇心豊かにいろんな扉の前に立ってみることが大切なんですね。
それでは、また来週お逢いしましょう。