ゲーテ読者に薦めたいとっておきの1冊をピックアップ! 今回はソン・スッキの『ハーバードの人生を変えるライティング』をご紹介。

ソン・スッキ 著、中川里沙 訳/かんき出版 ¥1,870
「書くこと」はAIを超える武器になる?
ハーバード大生は、4年間「書くこと」を徹底して学ぶという。文章を書くことは、ロジカルに考え、いち早く要点を伝え、望みどおりの反応を引きだす力につながるからだ。同大学を卒業した40代の男女の9割が、もっとも役立った授業は何か? という質問に「ライティング」と答えているという。本書はそんなハーバード大学の伝統を垣間見れる指導書だ。
20年間にわたってライティングコーチをしてきた著者のメソッドは、ハーバード大の授業と世界的企業のフレームワークを融合させた「オレオ公式」なる文章術。パワーポイントを使わず簡潔にまとめた6枚の文章によるプレゼンが行われているAmazon社などの実例を紹介しながら、より実践的な書く力と気づきを読者に与えていくのである。
世界的な企業の「今雇うべき人材」の第1位が「文章力が高い人」だという言及に、私は深く頷いた。出社とリモートのハイブリッドワークが定着した現代では、文章力が社内外をつなぐ重要なツールであり、またネットPR、顧客向け資料でも書く力は必要である。AIが文章を生成する時代だからこそ、AIの補助役にならない書き手が求められるのだ。
桝本壮志/Soushi Masumoto
1975年広島県生まれ。放送作家として数々の人気番組を担当。NSC(タレント養成所・吉本総合芸能学院)の講師も務めており、令和ロマンをはじめ、多くの教え子をM-1に輩出している。