ゲーテ読者に薦めたいとっておきの1冊をピックアップ! 今回は布施琳太郎の『ラブレターの書き方』をご紹介。

布施琳太郎 著 晶文社 ¥2,200
「ラブレターの書き方」を通じて世界を再認識する
本書はネットワークにつながれたこのSNS時代に、気鋭の若手アーティストが「二人であることの孤独」を模索する本であり、同時に現代を生きるすべての人に向けた人生論となっている。
「あなたは誰かとふたりになることができるだろうか?」この問いに対して、著者はさまざまな事例を引用しつつ思考を重ねていく。
愛を知るために、手紙の代筆業をする女性が主人公の人気アニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』。手紙魔として知られた、歌人で劇作家の寺山修司のラブレター。新海誠監督がひとりで作り上げたデビュー作『ほしのこえ』。そして、フランスの思想家、ジョルジュ・バタイユから日本の詩人、最果タヒと水沢なおまで……。
幅広い題材を横断しながら、ラブレターにおける他者の介入や私とあなたの存在、輸入された「ラブ」という概念やその言葉の意味など、テンポよく論じていく。
いい本の条件のひとつは、読者の知的好奇心を刺激し、次の知性の入り口を開いてくれるかどうかだと思う。本書はその深度と幅のバランスが非常にいい。知性は領域を非連続に横断し、新しい世界を獲得していく。そんな読書の楽しさを改めて教えてくれる1冊だ。
Seitaro Yamazaki
1982年神奈川県生まれ。セイタロウデザイン代表。「社会はデザインで変えられる」という信念のもと、デザインブランディングを中心に多様なチャネルのアートディレクションを手がける。