ゲーテ読者に薦めたいとっておきの1冊をピックアップ! 今回は盛田正明、神仁司の『人の力を活かすリーダーシップ ソニー躍進を支えた激動の47年 錦織圭を育てた充実のリタイア後』をご紹介。
人生100年時代を生きるビジネスパーソンへ!
本書はソニー創業者のひとり盛田昭夫の実弟であり、元副社長の盛田正明氏の人生を振り返り、追体験する1冊だ。
実に47年にわたって、本社の技術開発からソニー・アメリカ、ソニー生命保険とさまざまな畑でその手腕を発揮。グループの躍進に貢献した盛田氏のマネジメント哲学とは、現場を牛耳って思いのままに命令するのではなく、コンダクターとしてそこで働く人たちの力を伸ばし、いい方向に導いていくことだという。
そして70歳でソニーグループを退いた後には、「盛田正明テニス・ファンド」を設立。米国のアスリート養成機関に日本のジュニア選手を送りこみ、世界で通用するテニス選手を育成するなど、今なお日本テニス界のために精力的に活動をしている。錦織圭選手も、このテニス・ファンド出身だ。
人生100年時代といわれる超高齢化時代。定年後の人生の目標を失う人も多い。だが、この本を読むとそんな暗い気分はふっ飛んでいく。
ソニーを世界に冠たる大企業へと成長させ、70歳を超えてもなお新たな分野で挑戦し、日本男子テニス界の未来を切り拓いた。なんと夢と希望がある話だろう。盛田氏のその力強い生き様に、私自身もとても勇気づけられた。
Seitaro Yamazaki
1982年神奈川県生まれ。セイタロウデザイン代表。「社会はデザインで変えられる」という信念のもと、デザインブランディングを中心に多様なチャネルのアートディレクションを手がける。