ゲーテ読者に薦めたいとっておきの1冊をピックアップ! 今回は、神舘和典の『不道徳ロック講座』をご紹介。
セックス、ドラッグ、アルコールに溺れた私生活
本書は音楽ライターとして、300人以上のアーティストのインタビューを手がけてきた著者が、ミック・ジャガー、エリック・クラプトン、ジョン・レノン等、才能豊かなアーティストたちの赤裸々なエピソードをまとめた1冊である。
「性」「薬」「酒」そして「貧乏」。4つのテーマに分類された話の数々は、どれも刺激的だ。
例えば、ジョン・レノンがビートルズ時代に作詞した名曲『ノルウェーの森』は、ロマンティックな曲として知られている。しかし実は、ナンパした女の子の家に招かれた下心たっぷりのジョンがうまくかわされてしまい、結局バスルームで寝ることになった、そんな実話が背景にある。つまり、ジョンが浮気に失敗した曲なのだ。この時、ジョンにはひとり目の妻シンシアがいた。彼女に気づかれないように歌詞を書いたため、非常にややこしい表現になっていると後にジョンが語っている。
楽曲は、アーティストの生きざまの結晶だ。私も本書を読みながら登場する楽曲を聴き返してみたのだが、印象がまるで変わって聴こえて驚いた。偉大なアーティストの愛すべき(?)人間性。こんなご時世だからこそ、スターたちの“不道徳”をぜひ堪能してほしい。
Seitaro Yamazaki
1982年神奈川県生まれ。セイタロウデザイン代表。「社会はデザインで変えられる」という信念のもと、デザインブランディングを中心に多様なチャネルのアートディレクションを手がける。