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2025.04.16

今に不満があっても、人間が“変われない”理由。3,000名を指導した認知科学コーチングのプロによる分析とは

「仕事」にモヤモヤや物足りなさを感じているにも関わらず、現状を変えられずにいるビジネスパーソンは多い。認知科学に基づいたコーチングで10,000件を超えるセッションを行い、多くの人の人生を変えてきたミズカラ代表取締役CEO兼エグゼクティブコーチの村岡大樹氏が、本気で自分を変える方法を伝授。『自分の変え方 認知科学コーチングで新しい自分に会いに行く』の一部を抜粋して紹介する。【そのほかの記事はこちら】

自分の変え方
Unsplash / Timon Studler ※画像はイメージ

急激に変化すると、人は元の状態に戻ろうとする

人は、なかなか変われず、自分にとって快適な領域にとどまろうとします。「生まれ育った土地で暮らしたい」「昔からの友だちと遊んでいる方が心地よい」「大幅な年収アップなんて望まない」「転職は想像するだけで怖くなる」などは、その典型例です。

また、人は急に大きく変わってしまうと、慌てて自分の元いた「コンフォートゾーン」に戻ろうとします。「宝くじの1等が当たり、急にお金持ちになった人が、何億円ものお金を一気に散財してしまう」という話は、みなさんもよく耳にしたことがあると思います。

質素な暮らしを「コンフォート(快適)」と感じていた人が大金を手にし、豪邸を買い、高級車を買い、高級クラブに通うようになったら……? 急激な変化についていけず、その暮らしを快適だと思えないのです。そして、無意識的に元の快適な暮らしに戻ろうとして、一気に散財してしまうのです。

ちなみに、ほとんどの人が「モチベーション」という言葉の意味を間違ったまま使っています。おそらく多くの人が「モチベーションが維持できない」「モチベーションが低いので成果が上がらない」「モチベーションを上げるにはどうすればいいか?」といった使い方をしているのではないでしょうか。

モチベーションとは、人間の心の中から湧いてくるものであり、それがあるからこそつらいことや苦しいことを乗り越えることができる、何かエネルギーのような意味合いで捉えているようです。

けれども、これは誤りです。 モチベーションの本当の意味は、「コンフォートゾーンに戻ろうとする力」のことを指しています。

「え、本当? でも、甲子園優勝を目指している高校球児のエネルギーはモチベーションじゃないの?」と思った方もいるかもしれません。 それはまさにモチベーションで、その球児たちの頭に【甲子園優勝】というGOALが設定され、そのGOAL世界の方にリアリティを感じていれば、球児たちの無意識は『そこにいるのが自分たちらしい』となり、それに相応しい練習をしないと気持ちが悪くなっ てきます。 甲子園優勝がコンフォートゾーンなので、サボっている人がいれば違和感があります。これが勝てるチームなのです。頑張れているように見える人は、エネルギーを出しているというより、自分の無意識をGOAL側に設定しているのです。

この状態を作り出すのが、まさに認知科学のコーチングということになります。 「ホメオスタシス」の機能によって変化を嫌い、いつまでも「コンフォートゾーン」にとどまろうとする。 変化が生じ、「コンフォートゾーン」を出てしまった場合、「モチベーション」によって元の状態に戻ろうとする。 人間がいかに変わろうとしない生き物であるか、わかっていただけたのではないでしょうか。

誰でも自分の人生を良くしていける

本来人間は変わろうとしない生き物です。けれども科学的に正しい方法を身につければ、人は変わることができます。

今まで関わったクライアント(相談者)の変化を見てきて、そして私自身も自分を変えてきた経験者の1人としてそう証言します。

私は、現在年商16億円を超える会社の経営者ですが、何か特別な力があったり、特段賢かったわけではありません。ろくに勉強もせずに高校受験に失敗し、大学も中途半端な体育推薦で、行きたかったわけでもないけれど何となく入学。大学でもまったく勉強をせずに遊び呆け、留年ギリギリで何とか卒業。就職先も、1社だけ受けて受かったところにそのまま入社。転職した先でも仕事にまったくやる気が出ない。まさに典型的なダメ人間でした。

ある日、いつものように外回りの車の中で、仕事をサボってYouTubeを見ていたときに、ふと、「俺は何をやっているんだろう……これから先も漠然とこんな人生を生きていくんだろうか?」と悲しくなったのを覚えています。そんな自分を変えるために参加したセミナーで、私は認知科学のコーチングと出会いました。

副業で始めたコーチングで、1ヶ月半で270万円を売り上げ、起業、パーソナルジムやサウナ、民泊の運営、売却など、さまざまな経験をしてきました。その後、コーチングの会社の経営者となり、今では年商16億円を超え、毎年200%以上の成長を遂げています。

「自分を変えることができれば、人生は本当に変えていける」

私はこのことを、自分の人生を通して確信しています。Fラン大卒で、仕事をサボるダメ社員だった当時の自分に、何が起きたのか。お金があったわけでも、いい人脈があったわけでも、時間があったわけでも、特殊な能力があったわけでも、ラッキーが重なったわけでも、いい会社にいたわけでもありません。むしろそれらはまったくない状態でした。やったのは、【自分を変え続けた】ことだけです。

「自分の変え方」をマスターすれば、誰でも自分の行きたい方向へ進んでいける。私は心からそう信じています。

村岡大樹/Daiki Muraoka
株式会社ミズカラ代表取締役CEO兼エグゼクティブコーチ、一般社団法人日本認知科学コーチング協会代表理事。1987年東京都生まれ。2016年、外資系製薬企業で働いていた際にコーチングと出会う。その後、コーチとして独立するも失敗。2021年に合同会社LIMITを設立し、ジム、サウナ、民泊事業を経営(2024年2月事業譲渡)。2022年、株式会社ミズカラに参画し、「キャリアコーチング」「セルフコーチングプログラムREBOOST」を立ち上げる。2023年12月に株式会社ミズカラの代表取締役CEOに就任。キャリアコーチングのセッション数は10,000件を超え、累計受講者数は3,000名を超える。セルフコーチングプログラムREBOOSTの累計は受講者2,000名を突破。現在も、「夢中になれる人生をすべての人に」届けるため、200名を超えるメンバーと共に日々活動している。

TEXT=村岡大樹

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