周りの人と同じように頑張っているはずなのに、どうして差がついてしまうのか。誰でもできるのに、実は誰もやれていない「仕事ができる人」になる秘訣とは? ビジネススキルの解説で話題沸騰の「にっしー社長」こと、西原亮氏の著書『コンサル時代に教わった 仕事ができる人の当たり前』より一部を抜粋・再編集して紹介する。【その他の記事はこちら】

「何が終わったらこの会議が終了するか」を明確にする
あなたが参加する「会議の目的」は明確でしょうか? もっというと、参加者全員が「会議の目的」を齟齬(そご)なく理解しているでしょうか? 業務の20%近くも時間を費やす会議です。この問いに対して「YES」と答えられない組織やチームは、大きな損失をしています。
もちろん、「企画会議」など会議の名称が設定されているからといって、「会議の目的」が設定されているわけではありません。では、「会議の目的」を明確にするとは、どういうことなのでしょうか。
ここで私自身がいつも強烈に意識していることをお伝えします。
「この会議は、何が終わったら終わりなのかを明言すること」です。これにつきます。「会議の終わり」を明確にすることで、予定時間より早く終わっても問題ありません。
「会議のために60分押さえているから、早く終わると気まずい」など、もし「なんとなく時間を使う」意識があれば、その考えはぜひ手放してください。では、会議の目的をどう設定し参加者全員に伝えればいいでしょうか。
ダメな例とよい例を次に示してみます。
「ダメな」会議の目的例
・新年度の新しい営業施策の討議
・経理業務の生産性向上案のブレスト会議
・2025年の新規商品の開発方針を決定すること
上記のような目的は、よく設定されがちです。では、一体何がダメなのでしょうか? 具体的に、なぜ会議の目的にふさわしくないか、解説します。
・新年度の新しい営業施策の討議
そもそも「討議」とは「何が終わったら終わりなのか」が不明。アイデアを出して討議できれば終わりなのでしょうか? 果たして何をどこまで討議すればいいのか? 全員が1つのアイデアを出したら終わり? 人によっては営業施策を「決定」する場だと思うのでは?
また、「営業施策」の範囲も人によって解釈が異なる可能性があります。施策とは新規獲得の売上向上の手法なのか、既存客の単価アップなのか、もしくはマーケティング領域の販促なのか。
「新しい」の定義も解釈が異なるでしょう。Aさんは「今までにない突飛なアイデア」だと考えているのに、B部長は「売上に直結する改善施策でないとだめだ」と考えて解釈がブレると、議論ができません。
・経理業務の生産性向上案のブレスト会議
・2025年の新規商品の開発方針を決定すること
も、同じように人によって解釈が異なる可能性が高いので、会議の目的としては不十分です。
単語レベルで注意しなければ、「会議の目的」を全員にとって明確にすることはできません。目的があいまいなままでは、大勢のリソースを使う会議が無駄になってしまいます。では、さきほどの例をよりわかりやすい会議の目的として修正してみましょう。
「よい」会議の目的例
・新年度の新しい営業施策の討議
→新年度の新規顧客獲得に向けたソリューション商材の新しい販促ツールを候補から選択して、決定すること
・経理業務の生産性向上案のブレスト会議
→既存のツールを活用して、社内経費精算業務の承認処理時間削減のためのオペレーション改善案を参加者全員が5つ出すこと
・2025年の新規商品の開発方針を決定すること
→2025年の新規商品の開発予算、人員数、商品投入時期のスケジュールを決定し、社長承認の準備ができていること
誰がみても齟齬がなく、「何が終わったらこの会議が終了するか」も明確になったのではないでしょうか?
大事なことは「会議の目的を端的に表そうとしない」ことです。あえて、長ったらしい文章でいいので、より具体的に目的を書き切ることを意識してください。さらに、会議の終わりに実施してもらいたいのが「目的を達成したかどうかの振り返り」です。最初に目的を設定できても、最後に「今日の目的は達成したか?」と問いを投げずに終わる会議は多々あります。
「あいまいな会議は一切ゆるさない」姿勢で臨んでください。