周りの人と同じように頑張っているはずなのに、どうして差がついてしまうのか。誰でもできるのに、実は誰もやれていない「仕事ができる人」になる秘訣とは? ビジネススキルの解説で話題沸騰の「にっしー社長」こと、西原亮氏の著書『コンサル時代に教わった 仕事ができる人の当たり前』より一部を抜粋・再編集して紹介する。【その他の記事はこちら】

いきなり手を動かさない
私のコンサル時代の同期に、超優秀なAさんがいました。Aさんは前職のコンサル会社史上最年少でディレクターに昇進するほど仕事ができる人です。彼が実際に行っていた仕事のやり方を紹介したいと思います。
新卒向けの研修コンテンツをつくる社内プロジェクトがありました。「1週間後までに研修コンテンツの概要、および素案を提案してくれ」と上司から依頼をされています。優秀な同期(Aさん)とともに、他2人(Bさん、Cさん)のメンバーにも同じ依頼が出され、1週間後に出てきた成果物を比較し、よりよいものを選ぶというやり方でした。
そこで目の当たりにしたのが優秀な同期(Aさん)の1週間の使い方です。
BさんとCさんはPCでPowerPointを立ち上げ、1ページ目にタイトルの文字を入れ、研修コンテンツの目次や中身をつくることからスタートしていました。おそらく、普通はこのように最初からPCに向かって仕事を進める人が多いと思います。一方でAさんは最初に何をしたでしょうか?
研修コンテンツに求められている概要や目次、コンテンツをA4のコピー用紙に、手書きでなぐり書きしはじめたのです。そして、依頼されてから2時間後に、上司と15分程度の打ち合わせを始めました。
「粗い状態ですが、今回の研修の目的はこうで、資料の流れは〇〇という形で考えています。この認識であっていますか?」
彼は第一に、これからつくる研修コンテンツの方向性が上司とずれないように握りにいったのです。彼はとにかく、自分が作業する内容を限定し、無駄な作業を削ぎ落とすことに注力しました。その結果、自分がTODOを進めるうえでの「迷い」も削ぎ落としていたのです。
A4の紙に資料の具体的な内容を起こしては、上司に確認を依頼し、フィードバックを受け、修正する。上司と自分の机の間を何度も往復し、PCでの資料作成は一切しませんでした。一方で、Bさん、CさんはずっとPCで資料を作成し、つくっては消しての繰り返し。ひたすらきれいな見栄えの資料をつくるばかりで、上司とのすり合わせは行っていません。
そして、最終日の前日、はじめてAさんはPCでPowerPointを開き、4時間程度で資料をつくりました。当日、プレゼンの結果はどうなったか。
ご想像どおり、Aさんの研修コンテンツが圧倒的に優秀で、上司との認識のズレもなく、一発で採用が決まったのでした。とことん無駄な作業を省き、最小の作業で最大の成果を出すことを常日頃考え、実行していたAさんは、その後多数のプロジェクトに並行して取り組むようになっても、成果物の品質が下がることは決してありませんでした。
どこに時間をかけるべきか見極め、不要な仕事を徹底的に削除することで、あなたの生産性は著しく高まります。ぜひ、「サボって成果を出す」ことを意識してください。