英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第254回。連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは
“go bananas”はゴリラがバナナを前にした状態
「彼のアパートに行ったら、知らない女がいたの」
つい最近彼氏ができたばかりの、日本語ペラペラのアメリカ人女子が、そんな恐ろしい話をしてきました。普段は流暢な日本語で喋るのですが、感情が昂ると英語になる彼女は、次にこう叫びました。
I just went bananas when I found out what he had done!
直訳すれば「彼がしていたことを発見した時、私はただバナナに行った」となります。
全然意味がわかりません。しかし、その日彼のアパートは、怒る彼女、泣き叫ぶ知らない女、ただただ平謝りをする彼と、明らかに修羅場となったということ。
go bananas=激怒する
という意味だそうです。ゴリラがバナナを前にし、我を忘れてウホウホする様子から生まれたフレーズなのだとか。
ですので彼女が最初に言った“I just went bananas when I found out what he had done!”は、「彼がしていたことを発見した時、私はただ怒りに我を忘れた」みたいなことなのだと思います。
また、このフレーズには怒りだけではなくて、「めちゃくちゃに興奮する」という意味もあるということ。こちらの方が、バナナを前にウホウホ興奮するゴリラの様子がぴったりイメージできます。
“go bananas”を使うときの注意点
ケンブリッジの英英辞典にはこんな例文もありました。
When she came onto the stage, the crowd went bananas.(彼女がステージに現れた時、群衆は大興奮した)
最初にこの文章を読んだ際は、「激怒する」の方の意味で読んでしまい「彼女はスキャンダルでも起こして、ステージに上がった際にブーイングをくらってしまったのかな?」と深読みしてしまいました。けれどこの場合は、「スターが現れて群衆が盛り上がる」という方が自然です。文脈によって意味が変わってくるので注意して読む必要があるフレーズみたいです。
また注意すべきは、go bananaではなく、go bananasとバナナが複数系になるということ。
確かにバナナ1本くらいではゴリラもそこまでウホウホにはならないのかもしれません。100本くらいあって、やっと「我を忘れる」または「大興奮」となるのでしょう。
浮気現場を目撃してしまい、キングコング並みに怒りで暴れた彼女は、彼の家の家具をいくつか破壊、知らない女はダッシュで逃げ去ったそうです。そんなドラマみたいなわかりやすい修羅場、あるのでしょうか。現在は、冷静になって彼と話し合いの最中だということ。
別れてしまうのか、再構築するのか、今後もこっそり見守りたいと思います。
連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……
英語力ゼロのまま渡英、行けばなんとかなると思いつつなんともならなかった2年間のイギリス生活。帰国後はせっかく覚えたいくつかの英単語も忘れ去り、それでも時々は英語と格闘してみる現在、40歳。
「その英語でよく外国に行ったね」「めちゃくちゃカタカナ英語だね」と、なぜか日本人に笑われながらも、覚えたフレーズの数々。いつかはうまくなりたいから、恥を忍んで今日もブロークンイングリッシュ。下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。人のイングリッシュを笑うな。