35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第227回。連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは
快く頷いてあげましょう!
I need to see a man about a dog.
イギリス人の英語教師とオンラインで話していたら、彼はそう言って突然画面から消えました。
直訳したら「犬について、男性と会う必要がある」という意味になります。
私は授業料を払っているというのに、なぜそのレッスンの時間にわざわざ別の人に会いにいくのだろう、しかも理由が「犬について」とはどういうことなのだろう…。そう思っていたら、1分もしないうちに、また彼が画面に現れました。
「犬について、誰と何を話したの?」
そう聞いてみたら、ニヤニヤしていました。
「だって、君はスラングを知りたいっていうから、使ってあげたんだよ」
to see a man about a dog.=ちょっと(トイレに行きたいので)席を外します。
という意味のイギリスのスラングだそうです。
その場から、差し迫った理由で席を外したい時、そしてその理由をはっきり言いたくない時に、主に男性が使うフレーズだということ。またその理由はほぼほぼ「トイレに行きたいから」ということで、男性版「ちょっとお花を摘んできます」みたいなフレーズだと思われます。
また、バーやパブでこのフレーズが使われる場合は、まれに「もう1杯買ってきますね」という意味もなるということ。とにかく、離席の理由をいちいち言いたくない時に使うようです。
単純に“excuse me”でもいいのだけれど
彼はto see a man about a dog.と言いましたが、dogのところを、horse(ウマ)、duck(カモ)にしてもいいらしいです。
1866年に発表された戯曲でto see a man about a horse.というフレーズが「ちょっと失礼(トイレに行って来ます)」という意味で使われたことから、流行り出したということ。
「女の人はトイレに行く時、“Just need to powder my nose.”って言うことも多いかな」
とその先生は言っていました。直訳すると、「鼻にパウダーしないと」となりますから「お化粧を直してきます」というようなことだと思います。
「でもさ、トイレで席を外す時、いちいち理由なんて説明しなくていいんだよ。単純に“excuse me”と言って席を立てばいいんだから」
と最後に先生は言っていました。
確かに、まだあまり打ち解けていない人たちとの食事会で、「トイレに行ってきます」とは言いづらい気がします。まして「お花を摘んできます」なんて、ちょっとスカしているようで、もっと言いづらいでしょう。
日本語でもそういう時「ちょっと失礼します」だけですますので、そこは世界共通のようです。 けれど、バーで一緒に飲んでいる男性が、ちょっと打ち解けてきたら、“I need to see a man about a dog.”と言うかもしれないので、その時に快く頷けるよう、ぜひとも覚えておきたいフレーズです。
連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……
35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者による英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。