世界の富裕層の間で高い注目を集めるアンティークコイン。40年にわたってコイン販売専門店を経営し、日本におけるアンティークコイン収集の第一人者である大谷雄司氏が、資産性、アート性、歴史的価値などその多様な魅力を解説する連載の第8回。今回は2022年に行われたオークションでの高額落札コインのベスト3を紹介。
熱狂のコインオークション
超レアなお宝コインを手に入れる絶好の機会となるのがオークション。
「オークションには、多くの人が一堂に会して入札額を競り合う公開型と、郵便やメールで落札希望額をそれぞれ入札する非公開型があります。また前者はその場にいる人だけでなく、代理人を介しての電話での入札や、ネットや郵便での入札を併用して参加するケースも多いですね」
公開型の場合、目の前で入札価格がどんどん上がっていくため、とてつもない高揚感やスリルが味わえるのも魅力だ。
「王様の趣味といわれるオークションは、コイン収集の最大の醍醐味のひとつ。どんなに探しても見つからなかったレア物が登場することもあれば、自分が出品したコインに想像以上の高値がつくケースもあります。実際に落札するかどうかは別にして、一度体験してみればアンティークコインの新たな魅力に触れられると思いますよ」
【No.3】 貴州省 七銭二分銀貨(壹圓)
▶️ 落札価格¥9,000,000
200万円からスタートし、最終的に900万円で落札された“大化け”コイン。1928年に中国の貴州省で初めてとなる高速道路完成を記念して発行されたのにちなみ、裏面には自動車が描かれている。摩滅やスレ、傷がほとんどなく大変良好な状態。
【No.2】 フッガー・バーベンハウゼン 10ダカット金貨
▶️ 落札価格¥42,000,000
金銀採掘や金融で財を成した貴族、フッガー・バーベンハウゼン家の贈呈用金貨として1621年に発行され、現存するのは3枚のみ。表面には、神聖ローマ帝国皇帝の冠を頂く双頭の鷲が躍動的に描かれ、フェルディナント2世の銘が記されている。
【No.1】 神聖ローマ帝国 ジギスムント大公 7ダカット金貨
▶️ 落札価格¥60,000,000
1486年、大型金貨としては欧州初となるコイン年号入り貨幣として発行。贈呈用の7ダカット金貨は5枚のみとされる超レア物。表面に鎧姿のジギスムント大公立像、裏面にジギスムント公騎馬競技大会の疾走図と年号が刻まれている。
Yuji Otani
1978年に外国貨幣の鑑定・販売を手がけるダルマを設立。自身も数千枚のコインを持つ収集家であり、著書に『あなたも虜になる アンティークコイン』(幻冬舎)等がある。