世界の富裕層の間で高い注目を集めるアンティークコイン。40年にわたってコイン販売専門店を経営し、日本におけるアンティークコイン収集の第一人者である大谷雄司氏が、資産性、アート性、歴史的価値などその多様な魅力を解説する連載の第7回。

≪Pick-up Coin≫ウナとライオンの5ポンド試鋳銀貨
世界で最も有名なコインのひとつで、人気も価値も高い「ウナとライオン」。5ポンド金貨の極印で打たれた試鋳銀貨は7種類あるものの、発行は各1、2枚とされレア度は満点。このコインは現存するウナとライオンの銀貨のなかでも、最上級のコンディションを誇る。直径38mm。
グレードを制する者はコインを制す!知っておきたい基礎知識
アンティークコインを売買する際、気になるのは取引価格が適正かどうか。
「コインの価格は、現存枚数、製造された土地や年号、素材と重量、知名度などさまざまな要素に左右されます。なかでも重要なのが、グレードと呼ばれる指標。同じコインなら状態がよいほうが当然価値は高くなり、取引価格も上昇します」
状態を判定するのは鑑定機関だが、グレードの設定は機関や国によっても異なる。日本では主に「完全未使用品」から「並品」までの6段階だが、メジャーな鑑定機関であるPCGSとNGCの基準はさらに細かい。NGCを例にとると、アルファベット2文字でコインの製造方法と全体的な外観を表記。次いで1〜70の数字で状態を評価する。
「グレードが細かく設定されているのは、より客観的な評価を目指してのこと。とはいえ、鑑定するのは人間ですから、鑑定士によって微妙に評価が異なることもあります。同じコインでも、再鑑定するとグレードが変わるというケースも珍しくないんですよ」
グレード表記は取引価格の参考にもなるため、ぜひ念頭に置いてほしい。
スラブケースを見ればグレードが一目瞭然

NGCの場合、発行年や国、名称のあとにグレードを記載。数字は70が最上級で小さくなるほどランクダウンする。「PF 64」のPFは、贈呈用に特別に製造されたコインを指し、64は多少の摩耗や傷があるものの良好な状態、という評価。なお、収集するなら「MS(未流通品)」「PF」「SP(見本品)」の70~60あたりが、状態がいいのでお薦め。
Yuji Otani
1978年に外国貨幣の鑑定・販売を手がけるダルマを設立。自身も数千枚のコインを持つ収集家であり、著書に『あなたも虜になる アンティークコイン』(幻冬舎)等がある。