フランスのデザイナー、ジャン・プルーヴェ(1901–1984年)が手がけた、数脚しか世の中に流通していないラウンジチェア「フォトゥイユ カングルー」。その幻のラウンジチェアを、スイスを代表する家具メーカーVitra(ヴィトラ)が復刻。世界で150台のみの特別限定アイテムだ。
ファッション・アート・建築の分野でも注目を集めるプルーヴェ
今なお世界中に多くの愛好家をもつ、20世紀を代表するデザイナーのジャン・プルーヴェ。1930年代のフランスで、ル・コルビュジエやピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ペリアンと時代を同じく活躍していた人物だ。もとは鍛冶工であったが、その技術力と発想力で独自のアイデアを展開。量産可能な家具やプレハブの建築部品、工業的建築システムを確立した先駆者としても知られる。
デザイナーであり、建築家、そして起業家でもあったジャン・プルーヴェは、自らを「建設者」と名乗り、"合理的で無駄のない構造"を追求したものづくりに励んだ。そして、彼が独自に見出したデザイン哲学を反映した合理的な家具デザインは、ノーマン・フォスター、レンゾ・ピアノ、ジャン・ヌーヴェルなど次世代の建築家やデザイナーにも大きな影響を与えている。
その多くが復刻され、世界中で愛されているジャン・プルーヴェの家具。しかし工房で自ら手を動かし、職人を率いたプルーヴェの作品には特注品や少量生産品も多い。今回、ヴィトラ社はジャン・プルーヴェがデザインしたラウンジチェア「フォトゥイユ カングルー」を復刻。世界で150台の特別限定アイテムとして発売される。
1948年にデザインされて以降、世界に数脚しか流通していない貴重なラウンジチェア。この貴重な限定復刻は、ヴィトラ社とジャン・プルーヴェの娘であるカトリーヌ・プルーヴェとの親密な協力関係により実現したという。
「フォトゥイユ カングルー」は、もともと公共空間のために開発されたものだが、個人の住まいで使用されることが多かった一脚。プルーヴェが名づけたとおり、動物の「カンガルー」を連想させる形状で、腰掛けた人の体重をしっかりと受け止めてくれる。木製の肘掛けと背もたれを緩やかに支える構造は、外見的な美しさを保ちながらも、荷重がかかる部分に太さを持たせた、まさに合理的なデザインだ。
また、幻のラウンジチェアの復刻に合わせて、同じくプルーヴェがデザインしたレターオープナー「クープ パピエ」も復刻。プルーヴェの妻・マドレーヌが所有していたオリジナルは、家族で経営する工房によく転がっていたという。デザイナーの技巧が詰まった逸品は、レターオープナーとしての機能性はもちろん、その美しい佇まいはインテリアとしても飾っておきたい。
日本での購入は、ヴィトラの公式オンラインショップ(Vitra online Shop)でのみ可能。購入はこちらから。
問い合わせ
ヴィトラ TEL:0120-924-725
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