35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。英語力ゼロレッスン「人のEnglishを笑うな」第84回!
ガールフレンドを見つけるためにも!
オンライン日本語教室に来てくれているアメリカ人生徒さんが、日本に渡る準備を着々と進めています。すでに就職が決まっていて、緊急事態宣言が解除され次第の来日となるそうです。部屋を探したり、ライフラインを整えつつ、その準備の一環として、日本のデーティングアプリにも登録していました。
「緊急事態が解除されても、バーで女性と出会うようなことはまだ少なそうだから」ということでした。「まぁ、普段はBar hoppingでガールフレンドを見つけるけど」と、彼は流暢な日本語ではあるものの、日本語で言い表せない部分が英語になります。そして今回は大変興味深い部分が英語になっていました。
Bar hop=バーをはしごする
はしご酒は、世界中で愛される飲み方のようです。英語のこの言い方は、バーをぴょんぴょん飛び回って何軒もめぐる、そんなイメージが浮かびます。日本語では「店と店にはしご(ladder)をかけてわたり歩くイメージ」と伝えると大変驚いていました。
他にもPub crawl(パブクロール)、Bar tour(バーツアー)、Bar crawl(バークロール)という言い方もするそうです。パブをクロールで泳いで回る、というイメージも、hopping(ホッピング)と同様で、はしごをかけて、そろりそろりとわたり歩く日本語とは違い、活発な印象です。また日本の「居酒屋」はすでにヨーロッパではIzakayaとして知られている言葉なので、「日本の場合は、Bar hoppingよりもIzakaya hoppingの方がポピュラーだ」というと、まだ見ぬ本物の居酒屋に、彼は胸をときめかせていた様子でした。
各国で歴史のあるパブ、バーを見て回るのも楽しそうです。出張で、旅行で、“Let’s go bar hopping tonight!”と言える日がまた来ることを願ってやみません。
給料が安い=ピーナッツを稼ぐ!?
イギリスで夜の時間に行われている英会話スクールに通っていた時のことです。物価が高いロンドンで暮らしていくにはそれなりにお金がかかり、生徒たちは英語が不自由なりに、いろんな仕事をかけもっていて、夜に英語を勉強していました。英語教師のなかにも普段は別の仕事をしながら、先生をやっている、という人も結構いました。お金に関してはみんなシビアでしたので、生徒の一人が先生に「もうひとつの方の仕事は、稼げるのか?」と聞いたことがありました。その時に教師が返した言葉が忘れられません。
I just earn peanuts.
ピーナッツを稼ぐだけ? なんだそれ? と思ったのですが、そこから説明してくれました。
Peanuts=ほんのわずかな給料
という意味だそうです。一生懸命働いても、ピーナッツしかもらえない、そんなイメージでしょうか。
その言葉から、このようなことわざもあるようです
If you pay peanuts, you get monkeys
「ピーナッツで払ったら、猿を手に入れることになる」とはそのままですが、「給料をケチれば、優秀な人材は雇えない」という意味です。
「別の仕事の上司にこのことわざを言ってやりたいけど、その給料で雇われているんだから俺は猿なんだよね」と言っていた教師のしゅんとした顔も忘れられません。
一方で、ミュージシャンだけでは食べられないから、とか、脚本家の見習いをしている、という理由で英語教師を副業としている人もいました。また世界中でできる仕事なので、「将来いろんな国に住んでみたいから」と英語教師になった人もいました。私が出会った先生たちは、目標にむけて頑張っている人が多い印象でした。
Illustration=Norio