今回は、プッシュアウトを改善するための練習ドリルを紹介する。

力が入ると手元が目標方向に出やすい
2025年のマスターズは、ローリー・マキロイが念願のグリーンジャケットを手にしてキャリアグランドスラムを達成したが、最終日は試練の連続だった。
13番でダブルボギー、14番をボギーとして、一時はジャスティン・ローズに首位を譲るものの、15番と17番でバーディを奪い、最終18番を1打リードして迎えた。だが、決めれば優勝という約1.5メートルのパーパットを外し、ローズとのプレーオフに突入することになった。
マキロイは2024年の全米オープンで、最終日にリードしながらも1mのパットを2度も外し、自滅する形でブライソン・デシャンボーに敗れたということがあったため、ローズに有利な展開に見えた。
だが、今回のマキロイはその悪夢を乗り越え、プレーオフ1ホール目で1m弱のパットを決め切り、念願のマスターズのタイトルを手にした。
マキロイのようなトッププロでも、緊張した場面ではパッティングのミスが出てしまうものだが、誰しも大事なパットを外した経験があるだろう。
バーディチャンスのパットはもちろん、100切りを目の前にしたパーパットや、大会やコンペで優勝できそうな状況でのパットなど、目の前のパットの重要性が高まるほど緊張してしまうものだ。
そんな緊張するパッティングで多いミスがプッシュアウトだ。
プッシュアウトは、主にパターのフェースが開くことが原因で起きるミスで、打ち出されたボールは目標の右に飛び出す。フェースが開いてしまう原因はいくつかあるが、インパクトの際に手元が目標方向に出る動きによって引き起こされやすい。ボールを真っすぐ転がそうとして手元が先行したり、緊張して力んだときに出る傾向がある厄介なミスだ。
おへそから棒が伸びている感覚でストロークをする
今回は、プッシュアウトを改善するための練習ドリルを紹介しよう。
手元が必要以上に目標方向に出てしまうのは、体、手、パターの関係性が崩れてしまうことが原因だ。それを防ぐには、それぞれの動きがバラバラにならないようにドリルで動きを確認して整えるようにするといいだろう。
今回紹介するドリルは、パターのグリップエンドをおへそに当てて素振りをするというシンプルな練習だ。
この体勢で素振りをすると体の動きに手とパターが連動するため、手元が目標方向に出なくなる。体の動きで手とパターをコントロールし、一体化させることができるようになる。
おへそが支点となってパターが振り子のように動くので、パターヘッドはイントゥインの軌道を描く。
フォロースルーでパターヘッドをまっすぐ目標方向に出すイメージを持っている人は、フォロースルーでフェースが閉じているように感じるはずだ。実際は、この状態がスクエアなフェースの向きなので心配はない。
実際のストロークでは、おへそからクラブが伸びているような感覚を保ちながらストロークをする。この感覚を身につけることで、プッシュアウトのミスが減るはずだ。
このドリルをパッティング練習で行ってもいいし、ラウンド中に緊張していると感じたらこのドリルを行ってもいいだろう。緊張した場面でプッシュアウトが出てしまう人は取り組んでみてほしい。
おへそを支点にしてプッシュアウトを防ぐ、動画解説はコチラ
◼️吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。