今回は自宅でできる、重りを使ったスイング軌道改善ドリルを紹介する。

そろそろ春ゴルフ! 手打ちになりがちなスイングのリハビリ術とは
まだ寒いも日もあるが、最近はだいぶ暖かな日差しも多くなり、春の近づきを感じられるようになってきた。これから来るゴルフシーズンを楽しみにしている人も多いと思う。
雪国の人や寒さが苦手な人は、しばらくクラブを握っていないかもしれない。数ヵ月ボールを打たないとスイングの感覚が鈍ってしまうので、今から少しずつ練習に取り組んで感覚を取り戻していったほうがいいだろう。
ゴルフクラブは手先でコントロールできる軽さということもあり、久しぶりの練習では手や腕でクラブをブンブン振り回してしまうかもしれない。これではいくら練習場でボールを打っても、手打ちスイングを固めてしまうだけになってしまう。
手打ちスイングにならないためには、重たいものを振って体を使ってクラブを振る感覚を養うといいだろう。重量があるものであれば、手先だけではコントロールすることができないので、下半身や体幹といった大きな筋肉を動員してスイングするようになる。
素振り用の重いクラブなどで練習するのもいいが、クラブの重さに負けてオーバースイングになってしまうことがあるので注意が必要だ。
アマチュアゴルファーが重いクラブを使う場合は、コンパクトな振り幅のスイングで練習するほうが好ましいだろう。
上半身と下半身を連動させる
今回は、米国でバイオメカニクスの分野でゴルフスイングを研究している、ヤン・フー・クォン教授が推奨している練習ドリルを紹介したい。
クォン教授は、筋トレなどで使う「ケトルベル」という取っ手のついた重りを使い、コンパクトな振り幅で振ることによって、下半身を主体としたスイング動作を身につけることができると語っている。
ケトルベルを持ち、足踏みをするように左右の足を交互に動かすことで、地面からの反力を使って体を回転させ、手に持っている重りを動かすことができる。
バックスイングでは右足を踏み込み、上に向かう反力によって、右膝が伸び、右股関節が切れ上がる。この動きに連動して左肩が下がりながら上半身が回転する。
ダウンスイングでも同様に左足を踏み込み、地面反力によって体を回転させることで、手や腕に頼らずに重りを振ることができる。
ケトルベルやダンベルの代わりにエコバックのような手提げ袋を用意し、中身の入った2リットルのペットボトルを入れることで代用可能だ。ペットボトル1本で約2kgなので、自分の体力に合わせて無理のない重さに調整し、手や腕だけでは簡単に振れないくらいの重さにするといいだろう。
下半身を使って重いものを振るときは、上半身は受動的に動かしたほうがよい。手や腕はアドレスの位置に留めるように両脇を締め、重りを支えるだけの状態にする。
自分で手や腕に力を入れて動かす必要はなく、下半身の動きに連動して手や腕が動かされ、自然に重りも動かされるようにしてほしい。
足踏みを何度か連続で行うことで、重りの勢いで振り幅が大きくなっていき、速度も出てくる。これによって、スイング軌道が一定になるだけではなく、体が重りによって動かされる感覚もわかる。
体全体の筋肉が動員されていることがわかり、「上半身と下半身を連動させる」という意味を実感できるだろう。
袋とペットボトルをつかったシンプルなドリルなので自宅でもできる。春に向けてスイングの基礎練習に取り組んでほしい。
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◼️吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。