GOLF

2024.12.07

「クラブを真っすぐ引いて、真っすぐ出しても、ボールは真っすぐ飛ばない」では、どうするか?

インパクトゾーンを直線でイメージしている人は多いが、このイメージはスライスなどのミスショットの原因になりやすい。今回はPGAツアー選手が実践する、インパクトゾーンのイメージを変えるだけでスイングを改善する方法を紹介する。

吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン/スイングではアーク(円弧)軌道をイメージする

直線的なイメージが不調の原因に

PGAツアーでは、毎年、劇的な復活優勝を成し遂げる選手が現れる。身体的な不調やスイングの狂いによるスランプを克服し、久しぶりに勝利を手にする選手の姿を見ると、自分のことのようにうれしく感じるものだ。

今シーズン復活を遂げた選手の一人に、ベネズエラ出身のジョナサン・ベガスがいる。

2011年にベネズエラ人として初めてPGAツアーメンバーとなり、同年にツアー初優勝を飾ると2017年までに3度の優勝を果たした。しかし、その後は成績が低迷し、2023年に右ひじを痛めたこともあり、2024年シーズンもなかなか上位に顔を出すことができずにいた。

そうしたなかで、2024年7月の3Mオープンで7年ぶりの復活優勝を果たした。

スイングに悩んでいたベガスは、2024年の春に、かつてフィル・ミケルソンを指導した名コーチ、リック・スミスにスイング改善を依頼した。

3Mオープンの翌週に開かれたウィンダム選手権の会場に私が訪れた際、スミス本人と直接話す機会があり、ベガスに対してどのような指導をしたのか話を聞くことができた。

スミスがベガスに教えたことは、アマチュアゴルファーにも通じる基本的なスイングイメージだったという。

具体的にスミスがベガスに指導したことは、インパクトゾーンのイメージを直線ではなく、曲線でイメージするということだった。

以前のベガスは、クラブを真っすぐ引いて真っすぐ出すという直線的なスイング軌道をイメージしていた。それが不調の原因だと感じたスミスは、緩やかな円軌道でインパクトゾーンをイメージするようアドバイスしたそうだ。

「ショット、パットともに、すべてのクラブでアーク(円)のイメージでスイングするように指導した」

このように語ったスミスの指導によって、スイング動作が滑らかになり、飛距離も方向性も良くなった結果、指導から4ヵ月という短期間で優勝することができた。

スミスの指導内容があまりにも基本的なことなので拍子抜けしたが、PGAツアー選手でも、まっすぐボールを飛ばしたくなり、いつの間にか基本が狂ってしまうことがあるのだ。

クラブ軌道とフェース面を意識する

ベガスと同じように、クラブを真っすぐ引いて真っすぐ出せば、ボールは真っすぐ飛ぶと考えている人は少なくないだろう。しかし、スイングは体の回転によってコントロールするため、直線的な動きは限定的だ。

また、真っすぐな軌道をイメージしてスイングをすると、フェース面が目標方向を向いている時間が長くなり、インパクトでフェースが開いてボールが右に曲がったり、シャンクしてしまう原因にもなる。

実際のゴルフスイングではクラブ軌道は弧を描く。この時、フェースは緩やかに開閉し、インパクト時にスクエアな状態に保つことができる。

しかし、バックスイングでクラブを真っ直ぐ引くとフェースが閉じてしまう。そのため、クラブが緩やかなアーク(円)軌道になるようにイメージすることでフェースをスクエアに保ちやすくなる。

シャフトが地面と平行になるハーフウェイバックのポジションで、後方から見てリーディングエッジ(フェースとソール前方の境界線)が45度前後の角度になるように気をつけてほしい。

フォロースルーでもシャフトが地面と平行のポジションで、自分から見てリーディングエッジが垂直になるようにチェックをしてほしい。

このように、腰から下の軌道がイントゥインになるようにイメージすることで、クラブ軌道とフェースの向きが改善され、インパクトゾーンが安定するようになる。

練習では、腰から下のハーフスイングで、円軌道とフェース面を意識しながらインパクトゾーンを整えるとスイングの再現性が向上する。

このアーク(円)のイメージはパッティングもアプローチでも共通だ。

真っ直ぐ引いて真っすぐ出すのではなく、できるだけイントゥインのアーク軌道をイメージしてほしい。そうすることで、体の回転を使った動作と連動しやすくなる。

ぜひアーク軌道でボールをとらえる感覚を身につけてほしい。

動画解説はコチラ

◼️吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。

TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH=小林司

COOPERATION=取手桜が丘ゴルフクラブ

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