2023年8月10日からPGAツアー年間王者の座を掛けた戦いが始まる。来季の展望ともいえる現況をティーチングプロの吉田洋一郎が解説。
狭き門となったPGAツアープレーオフ
PGAツアーはシーズン大詰めを迎え、2023年8月10日からプレーオフ初戦のフェデックス・セントジュード選手権が始まり、翌週に2戦目のBMW選手権、さらに最終戦のツアー選手権と、年間王者の座をかけた戦いが続く。
2023年からプレーオフのルールが大きく変更され、プレーオフへの進出人数がこれまでのフェデックスカップポイント上位125人から70人へと大幅に絞られる。その後もさらに選手がふるい落とされ、2戦目は50人、最終戦は30人での戦いとなる。
プレーオフ進出人数は減ったが、翌シーズンのシード権を得られるのは従来通り125人で変わらない。そのため、プレーオフ終了後は「フォールシリーズ」が開幕し、残り55人のシード権を賭けた試合が行われる。
その後は2024年度のシーズンが2024年1月から開幕する予定で、今後は1月にシーズンが開幕し、プレーオフ、フォールシリーズで1年のシーズンを終えることになる。
また、BMW選手権に進出する50位以内の選手には、来シーズンの格上げ大会の出場権が与えられ、今まで以上に生き残りをかけた熾烈な戦いになりそうだ。
先週行われたレギュラーシーズン最終戦のウィンダム選手権でプレーオフに進出する70人の選手が確定したが、プレーオフ進出をかけた悲喜こもごものドラマがあった。
優勝したルーカス・グローバーはフェデックスカップポイント112位から49位に順位を上げ、大逆転でプレーオフに滑り込むことに成功。
70位以内を目指してプレーしていた実力者のジャスティン・トーマスは、最終日に追い上げるもあと一歩及ばず、フェデックスカップポイント71位となり涙をのんだ。アダム・スコット(72位)、シェーン・ローリー(78位)、ビリー・ホーシェル(90位)などの実力者たちも今シーズンの不調が響き、惜しくもプレーオフ出場を逃している。
年間王者争いはトップ3を軸に展開か
2022年のツアー選手権では、ローリー・マキロイが大逆転で3回目の年間王者となった。日没順延となった前日の未消化分のラウンドをこなした後、最終ラウンドでは6バーディ、2ボギーの「66」をマーク。スコッティ・シェフラーとの6打差を逆転し優勝した。
2023年はジョン・ラーム、スコッティ・シェフラー、ローリー・マキロイのトップ3によって年間王者争いが繰り広げられそうだ。
最終戦のツアーチャンピオンシップは、1位は10アンダー、2位は8アンダーからのスタートというように下位に行くほどハンディが減り、26位以下はイーブンパーからスタートとなる。
プレーオフ2戦目までの順位によってハンディが与えられるため、できるだけ有利なポジションで最終戦を迎えたい。ポイントがレギュラーシーズンの4倍となるプレーオフでは、一気に順位が変動するため、既に30位以内をほぼ確定させている選手たちも、一つでも順位を上げておきたいところだ。
30位のツアーチャンピオンシップ、50位のBMW選手権への出場権をかけた戦いも見どころだ。
当落線上の選手たちはもちろん、上位フィニッシュによってごぼう抜きで順位を上げて次戦の出場権を得る選手も出てくるため目が離せない。
2023年は厳しい戦いが続く松山英樹は現在フェデックスカップポイント57位となっており、プレーオフ初戦には出場できるが、最終戦の30位以内に残るには厳しい位置にいる。まずはプレーオフ初戦で50位以内に入り次のステージに進むことが求められる。
今年のPGAツアーはどのような結末でシーズンを締めくくるのか。今シーズン最後のゴルフ最高峰の戦いを見守りたい。