今、チェックしておきたい音楽をゲーテ編集部が紹介。今回は、ローリング・ストーンズの『Foreign Tongues』。

愛を請うように歌う曲でのミック・ジャガーの表現力は別格
2021年にドラマーのチャーリー・ワッツが他界した時、ローリング・ストーンズは終焉を迎えると思った。メンバー間で崇められ、サウンド面でも精神面でも、おそらく彼がバンドの要だった。あのやや前ノリのスネアドラムはストーンズの個性のひとつだった。
しかし新作『フォーリン・タングス』を聴く限り、3人に減ってもストーンズは揺るぎない。サイドメンバー、スティーヴ・ジョーダンのタメの利いたスネア。ダリル・ジョーンズ(ベース)の生む太いグルーブ。腕利きのリズムセクションのサポートを得てミック・ジャガーのボーカルが躍動する。
先行配信曲「イン・ザ・スターズ」はエンタテインメント性抜群。一方で「ラフ・アンド・ツイステッド」「ビューティフル・デライラ」など、田舎の安酒場のセッションの雰囲気をずっと失わないのもこのバンドの強み。キース・リチャーズとロニー・ウッドのギターが濃密に絡み合う。
クライマックスは「バック・イン・ユア・ライフ」だろうか。失った愛を取り戻そうとするシンプルな歌詞。女性を口説き、愛を請うように歌うミックのバラードは、ロックシーンで別格だ。この曲のロニーのソロも哀愁がある。
Kazunori Kodate
音楽ライター。『不道徳ロック講座』『新書で入門 ジャズの鉄板50枚+α』(以上新潮新書)、『25人の偉大なジャズメンが語る名盤・名言・名演奏』(幻冬舎新書)など著書多数。

